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二人の関係性①

 この日約束していた唯人に勉強を教えるため渚の家へ訪問する。 「ごめんね。 あんまりおもてなしできないと思うけど……」 「気にしないでいいよ」  早速いつものところで渚と落ち合い、彼の案内で家へと向かう。  まず電車で2駅乗り、そこから20分歩く。 「うち駅からちょっと遠いんだよねぇ」  渚は普段自転車を使っている。  ただ今回は叶芽がいるので徒歩だ。  普段通学は車な叶芽はこの距離を毎日は大変そうだなと思うも、通っている学校がとんでもなく広いので、毎日の移動が大変なので案外この距離も歩けるんだなと気づく。 ようやく一軒の家に辿り着いた。 戸建ての住宅だが、叶芽の家に比べたら雲泥の差である。 「狭いけどどうぞ」 「お邪魔します……」  玄関に入ると渚の言う通り狭いなと叶芽は感じた。  狭い玄関に沢山の靴がひしめき合っている。  どこで靴を脱いでどこに置けばいいのだろうか……  戸惑っていると渚は適当にどうぞと言って慣れたように靴を脱いで、大股で上に上がって行くので叶芽もそれに続いた。 「あっ叶芽さんちわっす!!」 「唯人君こんにちは」  リビングに行くと早速唯人が声をかけてきた。  そして渚の友人に他の弟や妹もこんにちはと挨拶をしてくる。 「カナちゃん適当に座ってて。 俺飲み物持ってくるから」 「うん。ありがと………」  リビングには渚の他に4人いるのでどこに座ればいいか分からない。  と言うか、このリビングの広さに渚と兄弟や彼らの両親が一緒に暮らしいているのが信じられなかった。  どうしたらいいか分からないで突っ立っていると唯人が早速宿題を教えて欲しいとノートや教科書を持ってきた。 「早速ッスけどいいッスか?」 「うん。えっとじゃあどこで……」  どこで勉強するのかと聞いたらリビングのテーブルでするらしい。  叶芽も勉強や宿題は分からない時は父親に聞くのでリビングでやることもあるが、こんなに騒がしい環境ではやらないので集中出来るのかと心配である。  叶芽が生きている環境とまるで違うのでカルチャーショックを覚える。

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