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友達とは……⑭

「やっぱお前スゲェわ」  昼休み、叶芽と佑真は校舎内にある談話スペースと言う、生徒や教師なら誰でも利用できる場所に来ていた。  ソファや椅子、テーブルが並べられ、本も置かれているが図書室ではない。  ただ自由にゆっくりお喋りしながら過ごせる場所で、家具や照明、壁紙を見てもとても高校とは思えない程豪華である。  そこで2人は叶芽が先日の夜食べたブート・ジョロキアの話をしていた。  親を巻き込んで激辛地獄の中平然と食べてのけた叶芽に佑真も最早感心する。 「母ちゃんに2度と食べるか!!って言われた」 「だろうな」 「あやたんと早苗さんにも薦めたけど遠慮しますって断られた」 「だろうな」 「佑真も食べる?」 「その流れで俺に薦めるか? 断固拒否する」  これだけの被害がありながらも食べる?なんて聞いてくるあたり、やはり叶芽は恐ろしい子だと改めて認識した。 「まぁそれはそうとさ、お前が最近仲良くなったっつう男はどんな奴なんだ?」  佑真の関心は激辛ではなく渚である。  あまり彼の事を話したがらないし、名前すら教えてくれない。  なのに叶芽は佑真を差し置いて彼と会っている。  佑真としては面白くない。 「どうって……優しいよ。 一緒にいて楽しいし……」 「それは分かった。 じゃあ俺にも会わせろって言ってんの。 なんで頑なに嫌がんの?」  きっと優しい渚ならいいよと佑真と会ってくれるだろう。  しかしそれを渋る理由が叶芽にはあった。 「だって俺ハブられる」 「はあ?」  α同士でお互いなんとなく気が合いそうなイメージなので、自分が蚊帳の外になりそうな気がした。 「ナギを取られる」 「取らねぇよ。 つかそいつナギっつうの?」 「あっ………」  思わずニックネームだが、彼の名前を口にしてしまった。 「言っとくけど俺の一番はお前なの。 そのナギって奴と別に仲良くなるつもりはねぇから安心しろ」 「……うん、じゃあ今度聞いてみる……」

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