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友達とは……⑬
寝室のベッドで熟睡していた麻人はいつの間にか隣に千歳がいないことに気が付いた。
トイレだろうと思ったが中々帰ってくる気配がないので探しに行くと、リビングで何やら話し声が聞こえたので来てみると2人に出くわした。
千歳から叶芽がキッチンでこそこそとブート・ジョロキアを食べていたと説明を受け、思わず笑ってしまった。
「笑い事じゃない」
「まぁそうなんだけど、そんなに食べたかったのか?」
「食べたかった……
でも母ちゃんに見付かってまだ食べてない」
「そっか。
じゃあお父さんも一緒に食べて見ようかな」
「おい!!」
そこまでして食べたいのなら仕方無いし、もう高校生なのだから食べて体調がどうなろうが自分で責任を持たせなさいと言い放った。
「いいか叶芽。
物事には必ず責任が伴う。
何があっても自分のせいだと言えるなら好きにしなさい」
小さい子どもではないのだから親があれこれ言っても仕方無いと言う。
叶芽もそれに納得し千歳も了承した。
「千歳も食べる?」
麻人は一緒に食べるつもりらしく、叶芽と同じようにスプーンを取り出した。
「じゃあ、少しだけ……」
どうせなら自分もと千歳も食べて見ることにしたが、その少しだけが後悔する事となる。
「………っ!!!!!!
み、水……」
「最早凶器だよ……」
両親ともあまりの辛さに悶絶した。
少しだけと小匙半分を舐めてみたが甘かった、いや、辛かった。
2人とも冷蔵庫から水を出して飲むが、それがまた辛さを増長させる。
流石は激辛ランキング上位。
最早辛いどころか痛い。
「そんなになる?」
そんな両親を尻目に、激辛好きの叶芽は辛いと言いながらも平気な顔で2口目を口に運ぶのだった。
そして一言
「うん。ちょっと辛い」
そう呟いた。
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