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友達とは……⑫
父親がαだと聞いて渚は驚いた。
自分でもαはΩへの偏見は強いものだと思っている。
けれど叶芽と接していると彼は愛されて育ったと感じている。
なので叶芽の言う通り、αもβもΩも人それぞれなのだろうと、そんな当たり前の事を改めて思い知らされる。
「じゃあまたね」
「また……」
今日も家の近くまで送ってもらった叶芽。
いつもまたねと別れる時は寂しいが今回は少しだけワクワクした気持ちがある。
渚の家に行く約束をした。
ずっと友達は佑真だけだったので他の人の家に行く事は無いので楽しみだ。
そしてこの日の深夜。
親が寝静まった頃にキッチンへとやって来た叶芽。
渚に宣言していた通り、ブート・ジョロキアの発掘へやって来た。
確かこの奥に入れてた筈とキッチンの上の棚の足元に踏み台を持ってきて探る。
調味料や食器が手前に置かれているのでそれを一旦出して奥を探して見ると、それらしき物が見つかった。
「あった!!」
予想通りここにあった。
バレないように出した物を片付けて早速ブート・ジョロキアの瓶の蓋を開けて見ると辛そうな臭いが漂ってきた。
「美味しそう……」
引き出しからスプーンを出して掬ったその時だった。
「何をしている?」
「………っ!!」
突然現れた母千歳。
瓶とスプーンを手に持った息子を見て呆れた。
「か、母ちゃん……
え~と……おはよう……」
「おはよう、じゃねぇ。
こんな時間に何やってるんだお前は!!」
トイレに目が覚め、叶芽の部屋の前を通るとドアが開いて電気も着いていた。
こんな時間まで起きているのかと部屋を覗いてみるも、部屋には叶芽はいなかったのでリビングに来てみればこれだ。
アホな息子に大きなため息をついた。
「あ、母ちゃんも食べる?」
「いるかそんなもん!!」
全くどこまでもマイペースである。
「おや、2人とも何してるんだい?」
するとそこに父までやって来た。
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