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初デート③

 しかしこのコーヒーはコーヒー豆なので、挽く所から始めなければならない。  取り敢えずここは詳しいであろう叶芽に任せようと思ったが…… 「で、これってどうするの?」  コーヒー豆の入った袋を片手に首を捻る。 「え、カナちゃんよく飲むんじゃないの?」 「コーヒーはそんなに…… それにそう言うのは全部家政婦さんとか執事にやって貰うから分かんない」 「家政婦!?執事!?」  家政婦や執事など映画やドラマでしか見たことの無い渚は本当に家政婦と言う存在が日本にいるんだなと思った。 「まぁ執事は辞めちゃったから今不在だけど」  柊家には以前執事も存在したが、ずっと柊家に尽くしてきた人が病気で辞めて以来代わる代わる他の執事が入ってきたが、叶芽との相性が悪く2月前からいない。  本物のお坊っちゃまを前に渚は苦笑いを浮かべる。 「えっとじゃあ、これ豆のままだから挽く奴無い?」 「挽く……?」  何も分かってない叶芽に渚はキッチンを見ていいかと許可を取り、棚やら引き出しを見て回るとそれらしき物があった。 「多分これ。 それでこれをこうして……」 「詳しいね」 「一応カフェでバイトしてるから多少の知識はある」  バイトのカフェでコーヒーも淹れているので、その経験が生かされている。  なので叶芽は全部渚に任せて自分はただ横で見ていた。 「で~きた。 カナちゃん、カップ用意してくれる?」 「ラジャー!!」  叶芽は敬礼して棚からコーヒーカップを2つ取り出した。  純白のそのカップがまた美しい。  こんな良いカップを使うのは少々気が引ける渚だが、そのカップを受け取りコーヒーを注いだ。 「OK、出来た」  無事コーヒーを淹れた所で2人はテーブルの方に戻る。 「コーヒー飲むならなんかお菓子とか食べたいかも…… なんか無いかな……」  今度はお菓子も食べたいと叶芽はまたキッチンへ戻り、また棚を漁る。 「あ、せんべいあった!!」 「せんべい!? コーヒーにせんべいなの!?」  普通コーヒーのお供は甘いお菓子では無いのかと疑問に思うも、叶芽は甘いものは好きじゃないからと言う。  彼の独特のセンスはやはり面白い。

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