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第一章 二人の隠しごと

「な、ちょっと寄り道して帰ろうぜ」  クラス一斉の、さようならの挨拶が終わるや否や、宮内 慎(みやうち しん)は東雲 亮太(しののめ りょうた)の席へ駆けて行った。  亮太の席は、一番前なのだ。  一番後ろの慎が机の間を駆け抜ける時に、誰か数人にぶつかった。  ごめん、悪ぃ、と言いながら、ランドセルを背負うには大きく育ち過ぎたこの少年は、クラスで一番背の低い亮太の元へ走って来た。 「道草はいけないよ。それに慎、今日は放課後サッカークラブじゃなかった?」 「堅いこと言うなよ。それにさ、新しいコーチ厳しいんだ。嫌になっちゃうぜ」  ちょっと息抜きがしたい、という慎の言葉に、亮太はうなずいた。  お金持ちで、塾に行ってて、サッカークラブに入ってて。  お父さんはPTA会長で、αである慎は、何かと窮屈なことが多いに違いない。 「じゃあ、どこ行く?」 「原っぱ、行こうぜ。カマキリ探そう」 「原っぱ、かぁ。いいね」  二人はわくわくしながら、大通りを抜け、小道を通り、町はずれの空地へやってきた。

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