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第四章・6

「とうとう、初夜かぁ」 「だらしない顔しないでよ、慎」  父の反対も押し切り、慎は亮太と結ばれた。  まあ、この年齢になると亮太もそれなりに社会的地位を身につけ、立派に成人していたこともあるが。 『亮太くん、慎はわがままな所もあるが、真っ直ぐな男だ。よろしく頼む』  こんな言葉が義父の口から聞けるとは思わなかった亮太だった。 「亮太、これまでありがとう。そして、これからもよろしくな」 「こちらこそ。ようやく子どもの頃みたいに、いつも一緒にいられるんだね。僕たち」  中学生の時とは違う、大人のキスを二人は交わした。 「ん~、亮太ぁ♡」 「ん、むッ。慎、舌使い過ぎ!」  白い素肌を手のひらで撫でさすりながら、慎は亮太の体中にキスを落とした。 「ああ、もう。たまんない! 食べちゃいたい!」 「慎、僕はきなこじゃないんだから!」  ネコのきなこは、十数年生きた今も健在だ。  慎の母に可愛がられながら、幸せに暮らしている。

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