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第10話 目覚めた記憶
心地よい温もりの中奏耶は目覚めた。
うっすらと瞳を開けると刻成がしっかりと奏耶を抱きしめたまま眠っている。
やはり、夢ではない。
自分は現代からこの世界に呼ばれたのだと感じた。
声も出なかった。
この神?と名乗る男に抱かれほんの少し声が出る様になったのだが
奏耶は今まで感じたこのとない快感と安堵感に包み込まれ他のは確かだった。
不安に思う事は現実の世界は一体どうなっているのか・・・
自分を探す者はいるのだろうか?
そんな事をぼんやりと考えていた。
すると、ふぃに背後から刻成の声が聞こえた。
「起きたのか?」
「・・・う・・ん・・・」
「身体は平気か?」
「・・・う・・・ん・・・」
「少しは話せる様になったな」
「・・・うん・・・」
「うん、しかいわねぇけどな。あはは」
そういうと嬉しそうに奏耶の頭を撫でた。
「お前はどこからきたんだ?一人できたのか?」
「・・・うん・・・どこかは・・・わからない・・・」
「ここは人一人通れるくらいしか空間は開けていないからな」
「空・・間?」
「あぁ。空間だ。昔からお前の住むところでも神隠しとか聞いた事ないか?」
「ある・・・」
「それだよ。神や妖の類は人の住む所から自分の世に人を呼び、餌にする者、または話し相手や気ままに遊ぶ者を探す者、そして、自分の番。。。嫁とか、婿を探す者が空間を空けて来た者が選んでくれたならこちら側の住人にしたりもするんだ・・・しない方が多いかな・・」
「・・・しない?・・餌?・・・」
「あぁ、餌にするのは良くない奴らだがな・・・だがしないというのはやはり、人は現世に未練やら想いが強くこちら側で暮らす者はいない・・・だから帰す時もある」
「・・・時もある?って?」
「帰す時にはこちら側との時間に差があるから今の姿のまま帰ると周りとは時間が変わっていることもあるし、帰れない時もある」
「・・・それって・・・」
「人によっては辛いだろうな・・・だが、呼んだ者の力が強ければきちんとその時間と場所に帰ることが出来る」
「・・・あなたは・・・出来るの?・・・」
「あぁ、問題ねぇな・・・多分・・・やったことないがな・・・」
「・・・強いんだ・・・」
「俺は、強い?う・・・ん?わからんな」
「なぜ?」
「一人になってからは争いもしたことがないからな・・・自分の力がどこまでかはわからん」
「・・そうなんだ・・・」
「っか、お前さっきから短い返事しかねぇけど?話せれるのか?」
「・・うん・・・」
「うん!じゃなくて!」
「大丈夫・・・だよ・・・でも凄く、しんどい・・・」
ほんの少しだけ会話しただけなのに以上に疲れてしまう。
温かい大きな手が奏耶の身体に触れている。
さっきまで眠っていたのに再び眠りが襲ってくる。
「まだ、この世界に身体がついてないんだな・・眠るといい・・・」
そう囁かれ再び奏耶は深い眠りについたのだった。
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