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プロローグ

俺は動物に好かれやすい。 小さい頃から、薄々は気付いていたが迷惑なことではないし、むしろ好ましい。 というか、好かれやすい体質万歳。 神様仏様、ありがとうございます。 社会人になり、動物園の飼育員として働き出した俺は、それはもう楽しい毎日を送っていた。 仕事は大変だったが、毎日毎日大好きな動物達のお世話が出来るのは夢のようだった。 いやー、俺こんなに人生最高でいいんだろうか。 たまに順風満帆すぎる自分の人生に、少しばかり不安に思ったりもしたが、仕事の忙しさに追われ何事もなく毎日を過ごしていったのだった。 いや、過ごしていくつもりだった。 「…………困ったなー……」 俺、杉本 海斗(すぎもと かいと)は、作業着に長靴、右手にはモップ、左手には水の入ったバケツを持って途方に暮れていた。 今日も普通通り出勤をして、動物達のお世話を楽しくやっていた。 その最中に、ちょっと足を滑らせて転んだ拍子に頭を打ってしまい気を失ったらしい。 目が覚めて気付いたら、そこは森だった。 「……空気も澄んでるし、気持ちいい」 現実逃避がしたくて、取り敢えず周辺を見渡してみると、壮大な森だった。 語彙力がなくて、申し訳ない。 空を見上げると、まだ昼間らしい。 木々の隙間から、綺麗な青空が見え隠れしている。 風も心地よく、何ともヒーリング効果のある場所だ。 「どうするかなー…、これが夢だと有り難いんだけど…さっきから手の甲を指で摘んでも、普通に痛いんだよな…」 ぽりぽり、と頬を掻いて溜め息をつく。 ここで動かず居ても、何も解決しない。 正直、今いるこの場所から離れて歩き出すのは怖いし、出来れば動きたくない。 このまま、ここに居て夜になっても怖い。 しばらく悩んだ末、俺は森の中を歩くことに決めた。 どこか、野宿出来る所があったらいいし、人が住んでいる場所に辿り着けたらもっといい。 バケツの中の水は重いので地面に流し、右手のモップを握り締め、俺はうっし!と気合いを入れて一歩を踏み出すのであった。

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