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第7話
「よっ!バツイチ出戻り無職!」
高校に行き、電話で中沢を呼び出すと、顔を合わせて早々にそう言われた。
「うるせぇよ……」
「まぁまぁ、そう眉間に皺寄せるなって!」
バシバシと背を叩く中沢。スラックスにカッターシャツ。その上に作業着を着た姿は、十年前に見てきた教師の姿と同じ。中沢が本当に教師になってるんだなと実感した瞬間だ。
「何だよ。俺の教師姿が眩しいか?」
「そうだな……そのまま十年後にハゲてしまえ!」
「ハゲねーよ!その遺伝俺持ってないし!」
十年経っても相変わらずくだらない会話をしているなと思った。
俺はそれから中沢と一緒に久しぶりに校舎の中を歩いて回った。途中で当時お世話になった麻生先生に会ったので、少し会話をして、今度はグラウンドに出た。
グラウンドでは運動部が部活中で、生徒達は中沢と一緒にいる俺を誰なんだという目で見ていた。少々居心地が悪い気もしたが、その居心地の悪さを払拭させるような声が背後から聞こえてきた。
「あれ?コウちゃん?」
「伊織?」
振り返るとテニスラケット片手に持っていたタオルで汗を拭く伊織が目を見開いて俺を見ていた。そういえば朝、俺が行ってた高校と同じとこに行ってるって言ってたな……
「どうしたの?中沢先生と一緒で?」
「あぁ、こいつが来いってうるさいからよ。今日はこいつの教師面見に来た」
「そっか、滝沢と浩二ってお隣さんだっけ?」
中沢の問いに伊織は「そうです」と答えたが、はて、俺は中沢にお隣さん事情なんて話した事があったっけ?と思っていると、中沢がクスクス笑い始めた。
「何で知ってるかって顔してるな?」
「あぁ……俺話した事あったっけ?」
「いやないね。滝沢が言ってたし、俺とお前が同級って聞いていろいろ聞いてきたんだよ。なんで浩二の事知ってるのかって聞いたら、隣だからって言ってさ」
成程、一人納得した。まぁ、隣近所の奴の同級が教師なんてやってたら聞きたくなるか。どうせろくでもない事しかこいつは言ってないだろうけど。
「もしかしてコウちゃん今から帰るの?」
「あぁ」
「なら一緒に帰ろうよ!」
「別に構わないが……」
「待ってて!俺ももう終わりだから!」
そう言って伊織は部室がある方へと向かって行く。すると中沢がポツリと呟いた。
「滝沢ってうちの学校のエースなんだぜ」
「へっ?」
「お前覚えてないのか?うちの学校のテニス部。インハイ行くくらいの強豪校って事」
「そういやそうだったな。って事は伊織って特待生なの?」
「そういう事!元々工業向きの頭じゃないからどうかと思ったんだけど、本人そんな気にしてないみたいだし、一応就職じゃなく大学に行くつもりみたいだ」
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