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第6話

 午前中に職探しをした俺は、一旦家に戻ってきたわけだが、景気が良くなってると言っても、中々気に入った仕事は見つからない。  俺の地元は日本でも有名な工場ラインであり、工場は二十四時間やっている事もあって、最近では夜景スポットにもなっている。  化学プラント、鉄鋼業、石油関係……俺が働いてきた仕事内容とそう変わらない企業は地元には腐るほどあるが、どうもピンとこない。一旦工業系から離れてみようかとも思ったが、持っている資格が資格だし、普通の企業で必要な資格は持っていない。なのであまり俺にはいいとも言えないだろう。  それにこれまで三交代で昼夜問わずバリバリ動いて働いてた俺にデスクワークは向かない。 「あれこれ言ってられないんだよなぁ……それに歳も歳だし。結構絞られる…」  ソファに寝ころび、ぶつぶつともらった資料を見ながら独りごちていた俺に、パートに出勤する母親が眉をしかめながら声をかけてきた。 「何?いいのなかったの?」 「うーん……どれもピンとこないんだよなぁ……」 「どうでもいいけど、このままニートにだけはならないでよ」 「わかってるって……」  離婚して退職、脱サラをした俺に母親は冷たい。それもそうだろう。この十年まともに連絡すらしてなかったのだから。  あまり後ろ暗い話をしても仕方ないと思った俺は、話のネタを変える為に、伊織の事を話題に出した。 「そういや隣に住んでる伊織、今日来るって言うから」 「あら、伊織ちゃん来るの?」 「あぁ、てかその口ぶりだとあいつん家と交流あるみたいだな」 「そりゃお隣さんだし。それにあんたがあっちに行ってる間も伊織ちゃん、よく遊びに来てたわよ」  それは初耳だ!と言いたいが、十年まともに連絡してなかったから当然と言えば当然だろう。 (しかもよく遊びに来てたって……何しに来てたんだ?)  まぁ、お隣同士の交流だ。別に変でもないかと思い、俺はソファから起き上がって中沢の所へ行く支度を始めた。  さすがに授業の時に行くのはマズイので、授業が終わるタイミングを見計らって高校の方へと足を運んだ。

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