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第14話
「なら勝手にしろよ」
「うん。そうするよ」
さて、これでこのおかしな話は終了だ。風呂に入って寝たいとこだが、今時計を確認したら深夜十二時を回っている。さすがに両親も寝てるだろうし、うるさくして起こしてもいけない。風呂は明日入るとして、俺はベッドに横になった。
「コウちゃん?」
「寝る。お前も寝るなら下で寝ろ」
そう言って掛布団を掛け伊織に背を向けたが、伊織は一向にベッドから降りる気配がしない。「早く寝ろ」と言おうとした瞬間、伊織は俺の布団を剥ぐって自分も横になって布団を掛けた。
「お、おい……!」
「何もしないから。だから一緒に寝よ」
「あのなぁ……」
「別にこれくらいいいでしょ?」
よくない。さっきの告白からのこれでは、俺が眠れそうにない。だが伊織はここで眠る気満々のようだ。狭いシングルベッドに大の男二人がいたら身動きが取りにくいし。
そんな事を考えていると、伊織の腕が俺の身体に巻きついてきた。
「何もしないんじゃないのか?」
「これ以上はしない。だからここまでは許して」
これはこれで非常に違和感がある。
「こうして二人同じ布団で寝るのって十年ぶりだね」
「そうだったか?」
「うん。昔はコウちゃんが俺をこうして抱きしめてくれてた」
そんな事があっただろうかと考えた。だがおぼろげながらもその記憶はあった。
伊織はよく俺の家に来て、俺の部屋に泊まりに来ていた。あの頃は小さいガキだったから何も考えず腕枕やら抱きしめて眠ったが、今それをするとなんだか別の意味にも感じるし、抵抗が物凄くある。
「おやすみ。コウちゃん……大好きだよ」
「あのなぁ……もういいや。おやすみ」
かなりの違和感があるものの、俺はその日伊織に抱きしめられて眠る事になった。これじゃ絶対に眠れないと思っていたのに、気が付くと俺の意識は遠くにいっていた。
本当に……何が間違って俺なんかに恋心を抱いたんだろうな?
むしろあの告白はそういう意味だよな?あんなに真剣だったし…
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