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第44話
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「あぁ……マジ腰いてぇ……」
掠れた声で文句を言いながらコウちゃんはベッドにうつ伏せのまま動かない。
初めてコウちゃんと心も身体も繋がって満足した。けど悲しいかな。盛りのついた高校生はそれだけでは終わらない。あれから立て続けに三回もしてしまった。俺としてはしてもし足りない感じはあるものの、これ以上するとコウちゃんが怒りそうだったので止めた。
もう一歩も動きたくない。明日が休みでよかったなどとコウちゃんはずっと言ってる。
「どうせ動けないでしょ?なら泊まっていきなよ」
「あのなぁ……動けない原因作ったのお前だからな!」
「わかってるよ。だから今日はもう何もしないから、ゆっくり休みなよ。おばさんには俺が言っておくから」
「お、おう……」
照れくさそうにしているコウちゃんは本当に可愛い。そんなコウちゃんの頬にキスを落とすと、コウちゃんは顔を赤くしながら眉をしかめる。
「もう何もしないんじゃないのかよ!」
「これくらいはいいでしょ?それにコウちゃんの知らない十年分の愛をこれから教えてあげないと」
「な、なんだよ急に!」
「コウちゃんの事が好きで好きで好きすぎるってのを教えてあげないと、コウちゃん不安でしょ?」
そんな事ないと言うけど、その表情が満更でもなさそうなので、俺の心もなんだか満たされた気がした。十年越しの想いがやっと通じたんだな。
「そうだコウちゃん。今度どっか行かない?」
「どっかってどこだよ。希望でもあるのか?」
「そうだなぁ……それは考えておく。出来れば泊まりの出来る場所とかがいいな」
「ったく……ノープランで言ってるのかよ。いいよ。俺がいい場所探しててやるから」
「ホントに?」
「あぁ……」
「コウちゃん。大好きだよ」
ちゅっと瞼にキスをして、俺はおばさんの所に行くことにした。
コウちゃんの事を決して見捨てはしない。それにこれからもずっと一緒だよ。
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