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これからの未来-9

 ちょっとしたいじわるのつもりだったのに、コウちゃんが目を見開き抗議してきた。 「そんなわけない!ただ……」 「ただ?」 「俺にもわかんねぇ……どうしてあんな嘘言ったのか……」  きっと気が動転してたんだろうとはわかる。けどその意味を知らなくちゃ。 「コウちゃん。俺に言いたい事あるでしょ?言って」 「な、なんだよ急に……」 「俺が気づいてないと思う?コウちゃんずっと様子がおかしかったし」 「それは……」  言葉に詰まったコウちゃんは俯いたので、そっと両手で頬を包み、顔を上向かせた。 「何でも言っていいんだよ。俺はコウちゃんが悩んでる意味をちゃんと知りたい」 「でも……」 「お願い。じゃないと俺が安心できないよ」  こつんと額をくっつけると、コウちゃんは少し黙り込んだものの、ようやく口を開いてくれた。 「俺、お前の事すごく好きなんだって思った」 「うん」 「だから逆に離れるのが怖かった」 「それだけ?」 「それだけって!隣の県って言っても、そう再々会えないんだぞ!」 「そうだね。けどそれで俺の心がコウちゃんから離れたりするわけじゃないよ。コウちゃんは違う?」  目をぎゅっと閉じたコウちゃんは首を横に振った。 「お前の事はすごく応援してる。けど、向こうに行けばかわいい子だっているんだし」 「考えすぎだよ。工業大学に来る女の子ってほんと少ないよ。それに前も言ったでしょ?俺のコウちゃんに対する想いは十年続いてるんだから、いまさら別の子には向かない。これからもずっとコウちゃんだけだって」 「わかってるんだ。けど……」 「じゃあ、どうしたらコウちゃんを安心できるかな?」 「わかんない。でも側にいたい時にいないのは悲しい」 「うん。俺も寂しい時コウちゃんいないのは辛いよ。辛すぎてこっち帰ってきちゃうかもね」 「馬鹿!お前はちゃんと勉強しろよ!」  きっと環境が変わればいろいろと変わると思ってるんだろうね。でも大丈夫だよとコウちゃんに伝えたくて、俺はコウちゃんが安心する言葉をいろいろと紡いではみた。 「コウちゃんに会いたいからきっと一週間に一度はこっちに戻って来ると思う」 「そんな……そんな事しなくても、俺が行けば」 「そうだね。お互いがお互い、そうやって会いに行けば心が離れる事もないよ。もし会えなくても毎日電話もメールもするし。それだけじゃ不安?」 「ご、ごめん……俺わがままばっかり……」 「恋人のわがままなんて可愛いもんだよ。それに俺としては嬉しいよ。それだけコウちゃんに想われてるだって実感できるから」  ぎゅっと腰に置いていた手を強めてコウちゃんを抱きしめると、コウちゃんも強い力で俺を抱きしめてきた。 「俺お前が本当に好きだ。こんなに誰かを好きになった事、よく考えたらないかもしれない。そのくらいお前を愛してる」 「うん。俺もだよ。今もこれからもずっと、おじいちゃんになっても一緒だよ」 「じじいになってもセックスするつもりか?」 「うーん……それは体力次第?」 「馬鹿……」

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