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第22話
鴬はたしかに、自身の疼きを自覚しながら必死で弁明するように装った。
「もぉー、疑うのはいいんだけど、僕だって男だよ? ……そりゃ、ひとりでだってするんじゃん」
「……こんな大量のゴム、何種類もの開封済みローションをひとりでか?」
「そうだよ。いつまでも僕が無垢のままだなんて、そんな子供扱いはやめてよね!!」
「……違うそうじゃない。無垢なのは俺が汚すんだから、別にどうでもいい」
(あぁー、もうちょっと味わっていたいなー、このゾクゾクする感じ……)
馬乗り体勢にシフトチェンジした仁作が、互いの鼻頭が重なる距離まで一気に詰め寄って「ただ、俺を事務所に詰め込んだ時期がどうも臭い」と言った。
(コレだよ……っ。コレコレ)
「……つい最近だね……?」
出来心で間延びした返事をしてしまった。もしかしたら、嫉妬してくれるかもしれない、そんな夢物語を見られると——。
「へぇ。自分から白状する気はねぇってか? それならそれでいいんだぜ? どうせ、俺のは萎えていくだけで、お前を抱けなくなるだけど」
そして、鴬は見たこともない程、仁作がニタリといやに片方の口角を上げて「俺のワガママも、ナシでええよ?」と煽り返された。
「——っ!? そんなのナシだよ!! ダメダメっ、今日するの!!」
「お前の準備が万端でも、俺が準備できてねぇんだよ。しかも、このままはぐらかすなら、俺、鴬に勃たねぇ」
キスできる距離でしない仁作は、鴬のそそり勃つナニに視線を落として、鼻で笑った。
「ごめんな? 清廉潔白なヤツしかダメみたいだ、俺の息子は」
「——駄目だよ、ダメダメ。そのブレスレットあげたんだから、僕から離れようったってそうはいかない」
常夜灯の部屋に鴬から受け取ったブレスレットは、光沢を見せずに厳ついだけ。まるで鎖のようだ。
視線をそれに移すと、「貢物で俺を買収したって、勃たねぇモンは仕方ねぇよ」と仁作がいう。言われたように仁作の股間を注視すると、すっかりとなりを潜めたモノが鴬に焦燥感を駆り立てた。
仁作の手にあるゴムやローションを払い退け、全力で腕を捕まえる。
「ねぇ、僕だけ仁作に興奮して、こんななってるの嫌だよぉ……」
捕まえた仁作の腕を自身のモノに擦り付ける。
「どこでそんなん覚えてきやがったんだ……」
「どこでなんて、此処でしかないじゃんー……。僕が他人とするわけっ——馬鹿ぁーー!!」
おいおい泣きながら、仁作の腕は絶対に離さない。しめ縄を締めるような音とともに、「ごめんなさいぃ……妬いてくれるのが嬉しくて……匂わせしちゃっただけだよぉ」という。
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