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夜明けの星 1.5-1(雪夜)
《夜明けの星……おまけ ~君を形づくるもの~》
***
「それじゃあ、夏樹さんの家族に会ったんだ?」
「うん!」
――夏樹の家族や兄さん連中に会った翌々日、雪夜が大学に着くなり佐々木と相川が抱きついてきた。
一応助けて貰ったし、裕也たちが悪い人ではないとはわかっていても、迎えに来た車がいかにも……な車だったので心配していたらしい。
ベンチで昼飯を食べながら雪夜が連れて行かれた場所について話すと、白季組の話を聞いた二人が絶句した。
「あ~……うん、何となく予想はしてたけど……あの人らガチの筋者 かよっ!」
佐々木が顔を顰めて軽くこめかみを押さえた。
「マジか~……夏樹さん似合いすぎるだろっ!――ズルい~~~~っっ!!」
相川が唸りながら両手を口に添え、突然空に向かって叫んだ。
人気 のない場所から急に大声が聞こえたので、少し離れた場所を歩いていた学生がビクッと足を止めた。
「やかましいわっ!声抑えろっ!」
佐々木がすかさず相川の頭を叩く。雪夜はそれを横目に……
すじもんって何?ポ〇モンの仲間かな?っていうか、相川、ズルいって何が……?
と、二人の反応に首を傾げていた。
「雪夜!変なことされなかったかっ!?脅されたりしてねぇか!?」
ぼんやりと考えていると、佐々木が雪夜の顔を両手でむにっと挟んだ。
「ぅにゅ?」
「え、雪ちゃん脅されてんの!?」
「今俺がそれを聞いてんだよっ!ちょっと相川黙れっ!」
「え~!?俺だって雪ちゃんが心配だしっ!!……う゛ぐっ!?」
佐々木に肘鉄を食らわされた相川が横腹を押さえて蹲った。
「それで、夏樹さんの家族ってどうだった?」
「ん~とね……なんていうか……凄かった……」
「……そ、それはどういう意味で?」
相川と佐々木がゴクリと唾を飲み込んで雪夜の言葉を待った。
「えっとねぇ……まず、美男美女が勢ぞろいしてて眩しかったの!!目の保養になったよ!!」
「んん?」
「美男……美女?」
大真面目に答えた雪夜を、二人がキョトンとした顔で見て来る。
「そうなの!!みんな夏樹さんよりも年上なんだけどね、スゴイ美男美女揃いでね、何かモデルさんとか役者さんとか見てるみたいだったよ!!めちゃくちゃカッコ良かったの!!もちろん夏樹さんが一番カッコいいけどね!?あ、でも、らいぞーパパはちょっと違うかったかな――……」
みんな美男美女だったんだけど、らいぞーパパだけは……なんて言えばいいんだろう?
う~ん……あ、そういえば、しおりパパが何か言ってたな~……そうだ!
「えっとね、あいちゃんママとらいぞーパパは美女と野獣だったよ!」
「美女と野獣!?」
「それって、つまり、らいぞーパパは怖かったってこと?」
「ううん?みんな優しかったよ?らいぞーパパはね、夏樹さんと話す時だけちょっと眉間に皺寄せて怖い顔して怖い声出すんだけど、本当は夏樹さんと話すのが愉しいんだってさ!二人のやり取りがね、最初はケンカしてるのかと思ってびっくりしたんだけど、よく聞くと漫才みたいで面白いんだよ~!」
「へ……へぇ~?」
雪夜が愉しそうに話すのを見て相川が微妙な顔で笑った――……
あれ?俺何か変なこと言ったかなぁ……?
***
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