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Daichi Side 1-1
「大地~ノート見せて~」
能天気な声を出して有希が近づいてきた。
コイツは有希。森川有希 、俺の従兄弟だ。
俺は大地。中田大地 。
俺とコイツは同じ高校の2年だ。
しかもクラスもいっしょ。
「俺のノートを見たいなんてどんだけだよ?」
「え?何で?」
「もっとさあ、成績優秀できちんと書いてあるやつに借りたほうがいいんじゃない?」
そう、自慢じゃないけど、俺は成績は下から数えたほうが早い。
でも、それに反して、俺のモテ度はすごいよ。多分、この学校でのbest1か2だよ。
たしかに俺はカッコイイと自負している。まあ、自画自賛的なやつかもしれないけど。
まー
俺がその気になれば大概のやつは落ちる。
……一人を覗いて。
それが、こいつだよ。
俺がどんだけこいつに心を砕いているか……。絶対本人には伝わってないんだろうな。
「ええ?メンドクサイよ。ってか昨日の古文の授業眠くってさ寝ちゃったから、それだけでもいいんだー」
「お前、そんな事いうなら、なんで、家とかで言わないわけ?」
……
……
こいつは、今、俺の家に居候している。
叔母さん…こいつの母親が少し前に、病気で亡くなって、叔父さんは海外へ行ったり来たりの仕事をしているから、うちに居候する事になった。
いや、最初は、コイツは一人で大丈夫とか言ってたんだけども……。
「だって、一人だなんて、可愛そうじゃないの?せっかく親戚が近くにいるんだし?
それに、有希ちゃん家事だって出来ないでしょ?」
とか言って、俺の母親が無理矢理に家に呼んだ。
俺の父親も賛成してたし、叔父さんもコイツを一人にしておくのは心配だったらしく、
なんの問題もなく、少し落ち着いた今月からうちの一員になった訳なんだけど……。
だけど、コイツと一つ屋根の下っていうのは、俺としてはかなりスリリングだ。
コイツは自分で自覚してるんだかしてないんだか、多分してないと思うけど……かなり可愛い。
黒目がちのでっかい目、色白の肌に、小さい唇。やわらかいくせ毛ぎみな髪、
全体的に、ちょこんとこじんまりしていて、何処か小動物みたいでホントにやばい具合に可愛い。
ってかマジストライクゾーン来てるって感じ。
だって俺は、性別なんて関係ない奴なんだよ。
そう、男女問わず。なんだ。
俺は小学生ぐらいな頃から有希の事が好きになっていた。最初そういう"好き"だという事を自覚した時は自分でも吃驚した。だけど、小学生だしだからどうする事もなく、
小学生の頃は夏休みとか結構遊んだんだけども、中学、高校とか行くうちになかなか交流もないままだった。
まあ、大きくなれば従兄弟だからってそんなに会わないもんな。
会うとなる時は親戚同士の冠婚葬祭時ぐらいなもんだし。
だから久々に会ったコイツは可愛さがさらに倍になったみたいで
俺は物凄く"来たっ"って感じだった。
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