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第67話
昼休みになって、3人で学食へ向かう。
「チカちゃんとこ授業終わるの遅くない?」
「俺に文句言うな。先生に言え」
チカちゃん待ってたら出遅れたんですけど。
けどそんなことより、すいちゃんがちょっとそわそわしてるのが分かるから可愛い。
ちょっと急ごっかー、って学食の前にやって来ると、そこには万谷くんが立っていた。邪魔にならないとこで壁に背中預けてスマホいじってる。
「あ、こんにちは。先輩」
あ、気づいた。
「もしかして待っててくれたの?」
「俺ら自習だったんで、早く来れたんすよ」
「万亀くんは?」
「席取っといてもらってます。先に食券買って、このまま先輩たちとカウンター並べばスムーズかな、って。席も探さなくていいですし」
万谷くんはそう言って2枚の食券をひらひらさせる。気遣いがイケメン。
「ありがとね! 万谷くんは今日なに食べるの?」
「俺日替わりです。万亀がA定」
「俺何にしようかなー」
唐揚げ。唐揚げがいいかな!
「清瀬先輩、今日マンガ持ってきてるんすけど、渡すの放課後でもいいっすか?」
「あっ、うん。もちろん! あの、俺も本持ってきたからその時に交換しよ」
「ありがとうございます」
あぁ、すいちゃんそわそわしてる! 可愛い!
放課後も楽しみできて良かったねぇぇ!!
ちらっとチカちゃんを見ると、何か言いたそうだけど口を閉じていた。偉い。
「ログオン何巻まで出てるの?」
「先週20巻出たとこですね。今日はとりあえず5冊持ってきてますけど、重かったら言ってくださいね。巻数減らすんで」
すいちゃん! 減らしてもらった方がいいよ! そうすればマンガを理由に会う回数多くできるよ!
「ありがとう。楽しみ」
万谷くんと帰れるのがだね! 分かる!
チカちゃん、俺たちは邪魔しちゃダメだからね! って念を込めてチカちゃんを見る。おいこら、こっち見て。すいちゃん見ていたい気持ちは分かるけどこっち見て。おい。
俺たちもそれぞれ食券を買って列に並ぶ。万谷くんは万亀くんの分も2枚トレイを取った。
ってか万亀くんどこ? って思って見回すと、端の方のテーブルでスマホいじってた。万谷くんもスマホ時々いじってるから、2人でLINEでもしてるのかな?
とりあえず、すいちゃんと万谷くんを隣同士か向かい合わせに座らせて、俺たちはただの置物のようになってごはんだけ食べていよう。そうしよう。
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