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第5話 手順

「進路?俺は地元で働くけど。」 夏休み前の期末考査の勉強を教えてくれと言われ、教えている際に進路の話になった。 何気に遼太の高校卒業後の進路を尋ねたら、地元で就職すると言う。ここは大学進学を希望する人は少なく、専門学校に入る人の方が多い。 遼太が進学を希望しないのは、実家が農家だから家の手伝いをしなきゃいけないのかなと思った。 長男のようだし、親元に残る選択をしているよう。俺も長男だけど、地元も親も好きではないから東京に行くことをずっと前から決めていた。 「友也は?」と聞かれ「東京の大学。」と答えたら、「いいな。」と言って少し羨ましそうな顔をされた。そんな顔するなら遼太も地元を出ればいいのにと奨学金の話とか受験の話とかを色々としてみたが穏やかに微笑まれるだけで「俺も行く。」という返事は出てこなかった。 「友也は自由でいいな。」と言われ頭を撫でられてイラついた。 自由とかじゃなくって、地元が嫌いだから離れたいだけで、地元が住みやすかったらいるワケで…。 ムカムカしていたら遼太の顔が近づいてきてるし…。 ここは俺の部屋、俺の部屋で何をするんだと近づく顔を押しのけた。何回か行ったけど遼太の家は遠いので、帰るのが面倒になるからウチに呼んだのに、勉強教えてって言うから教えてるのに、なんでこう毎回毎回…。 暫くして遼太の顔を両手で顔を押さえている俺の頭に「もう、葛藤…って言うのか?頭の中の言い訳終わった?」という声が降り注いできた。 ここ最近は、恥ずかしいことに毎回毎回同じ手順を踏んでいる。 毎回毎回抵抗するか暴れるかの俺、毎回毎回俺が落ち着くのを待っている遼太。 もうキスをするのもそんなに嫌じゃないのに…。 顔を押しのける手を下したけど、きっと赤くなっているはずの顔が見られたくなくて上げられない。 「いつまで恥ずかしがるの?」と呆れた声で聞かれ、カッとなり顔を上げた先には遼太の顔。 「もういいよね?」の声に目を閉じた。口腔を浸食される感覚に浸っていると体も触ってきた。 そもそも自分から『抱かれたい』とか『セックスしたい』とか誘ってるのに、相変わらず覚悟が決まらない。 ネットで一応は知識を入れてるけど、実際自分がやるのかと思うと戸惑いがある。 遼太も学校では普通に女の子と話してるのに、こんな胸も何にもない男の体を触って面白いのだろうか。 無理矢理自分を興奮させようとしてるのか今日は扱いが荒いし、圧し掛かられた体が重くて苦しくなってきた。 毎回毎回抵抗するのも逆に恥ずかしいから、されるがままにしておいたら結構脱がされてるし…。 俺のいくら揉んでも舐めても大きくならない胸にある揺れる茶髪に問いかけた。 「いいよ無理しなくて、俺の胸なんか触っても大きくならないし。」 「ん?なんのこと?」 「無理しないでってこと。」 「言ってる意味わかんないんだけど。」 「…俺の体じゃ勃たないんだろ!!ってこと!!言わせるなバカ!!」 「…そういうことか。」 手を掴まれて触らせられた先は遼太の大きくなっている下半身、一緒だねという風に俺のも触られたので、恥ずかしくて結構な力で突飛ばした。 そのまま「もういいんだろ」「よくない」「どこだったらいいの」「この辺じゃダメ」とかいう話になって最終的には「絶対知り合いに会わない所でだったらセックスしてもいい」という言葉が引き出されてしまい、これから来る夏休みに「絶対知り合いに会わない所」に行く約束をすることになってしまった。

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