56 / 191

2−38

 ビルの三階に入っている【大冒険】の上の階には、ミフユが自宅用に部屋を借りている。  そこまではどうにかこらえたミフユだったが、玄関の鍵を開けて寝室に入るともう限界だった。  「伊吹……っ」  電気もつけないまま、酩酊している伊吹をベッドに押し倒した。両手首をシーツに押しつける。  赤らんだ顔に唇を寄せ、何度も何度も口付けながら、性急に服を乱していった。  伊吹が、自分の寝所で下着一枚になっている。  それがどれだけヤバい事か分かっていたが、止められなかった。  商売柄、身体は三十路になっても隙なく鍛えられている。締まった腹は汗ばみ、浮かぶ汗が筋肉のラインを強調していた。  「んん……っ」  剥き出しになった腹を撫でると、ぴくりと伊吹が身じろいだ。  ミフユは相変わらず据わった目でそれを見下ろして、それから顔を寄せる。  「ぁっ……」  流れる汗の筋をなぞるように、唇を這わせ、臍の周りをゆっくりと撫でる。  窪みに舌を差し込むと下肢がぴくりと揺れ、両脚がミフユの顔を挟むように動いた。  伊吹が意地でも女性用に履き替えなかった黒のボクサーパンツに指をかける。  下着からこぼれ落ちそうなほど生地を押し上げている屹立を見て、ミフユはくっと笑った。  「先っぽ、濡れてんじゃん」  ずるっと一思いに下着をずり下げると、年相応に使い込まれた逸物が現れた。  これで、何人の女を啼かしてきたんだろう。  指で輪っかを作るようにして全体を軽く扱き立てながら、それをぱくりと口に含む。  「んぁ……っ」  ほとんど無意識に近い状態だからか、伊吹は素直に声を上げて腰を浮かせた。  反応してくれていることに気をよくして、ミフユはさらに伊吹自身を深く口内に迎え入れる。  喉で締め上げ、舌で裏筋を撫でながらじゅるじゅると啜る。  頭を前後させて摩擦させながら、口蓋で括れの部分を擦り上げた。  「あ、ぁ、っ」  伊吹のものが、自分の中で高まっている。  それがどうにも嬉しくて、顎が疲れるのも厭わず激しい口淫を続けた。

ともだちにシェアしよう!