190 / 191
10 【完】
暴れる伊吹の体を軽々うつ伏せにひっくり返して、ぽかりと開いたままの孔に自身を添える。
「十年分のアタシの愛を受け取ってよね♡ 一晩じゃ到底収まんないけど――よかった、まだ大晦日もお正月もあるわよね!
年を跨ぎながらじっくり伝えてやるから、覚悟して♡」
「ふざけんじゃねー何回ヤるつもりだテメェは!?――待て待て入ってる入ってるなんでもうそんなガチガチで、ヒッ……!」
十年越しでようやく実った愛は留まることを知らず、結局年を跨いで三ヶ日の間じゅう、辺り一帯に嬌声が響き渡ったのだとか……。
しかしあいにくバー・【大冒険】はその間休業中だったため、実際のところを知るのは当事者の二人だけである。
ともあれ。
美冬と伊吹はこうして結ばれ、末永くど突き合いながら、楽しく暮らしていくのだった。
紆余曲折あれど、終わりよければすべてよし。
今日も新宿歌舞伎町のどこかでオネエとヤクザが皆に囲まれて、賑やかに愛を結んでいる。
《おしまい》
ともだちにシェアしよう!