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最後にもう一度唇を合わせて、伊吹の身体を掻き抱く。
「っ伊吹、すき、大好き……っ」
「みとぉ……っん、ふ」
「ん……っ」
蕩けた瞳に見つめられ、ミフユはくっと眉を寄せる。
上でも下でも、身体のすべてで繋がり、溶け合っていくような感覚に浸りながら、精を吐き出した。
「は……」
出している間もずっと気持ち良くて、腕に抱きしめている存在が愛おしかった。
ふ、と詰めていた息を吐き出し、呼吸が落ち着いてきても熱は醒めやらず、何度も軽いキスを繰り返す。
「ん、っ……美冬、おまえ」
「はー……え、何?」
満足して滑らかな頬に頬擦りしていると、顎を掴まれて「うぜぇ」と遠ざけられた。
ぽかんとして伊吹を見ると、
「……すげぇな、おまえ」
「は?」
「なんか……ねちっこくて」
「ひどい!」
いや、正直なところ前戯の段階から自分でも自覚があったのだけれど。
「……いつもはもっと淡泊よ? おれ」
ぐてっと伊吹の上に寝て、気怠げな顔を見上げる。
「やっと、初めて好きな人とできたんだもん。今日くらいねちっこいのも許して」
えへ、と甘えるように笑ってみると額を指で弾かれる。
「いたっ」
それからくしゃりと髪を掻き回されて、柔らかい笑顔に見下ろされた。
「仕方ねえか。おまえに付き合えるのなんて、俺くらいしか居ねぇだろうしな」
「伊吹ちゃんっ」
がばりと抱き着いてひとしきりキスを交わした後で、伊吹の中から自身を引き抜く。
用を終えたゴムを縛ってぽいっと後ろに放り投げながら、新しい袋を取り出す。
「ね、もう一回いい?」
「は?」
満面の笑みで頼むと、伊吹は豆鉄砲で打たれたような顔をする。
呆気にとられている間に伊吹の体をそそくさと抱えて、二戦目に入ろうとすると、我に返った伊吹がじたばたと暴れだした。
「おいこっちは初めてなんだぞ、ちょっとくらい気遣え――うおあっ!」
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