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圭吾と正一郎
小さい頃からの幼なじみの俺とあいつ。
田舎で住んでいる俺とは正反対で都会育ちのあいつ。
連休になれば必ず、俺の家に泊まりにくる。
地元の友達と遊べば良いのにって言っても俺の家に泊まりにくるあいつ。
一緒に遊んで、一緒に風呂入って、一緒にご飯食べて、一緒に寝る。
お弁当持って花見に行って、近所の川に行って河原でスイカ割りして、小さい滝を眺めながら紅葉狩りして、雪だるま作ってかまくらの中でお雑煮食べて。
泊まりに来るたびに身長も高くなってカッコ良くなってくるあいつに、ドキドキしていた俺。
代わりに、見上げてる俺を可愛い可愛いって頭を撫でてくるあいつ。
もう中学3年かぁ、こたつでテレビ見ながら新年を迎える。
進路はどうするってあいつがみかんの皮を剥きながら聞くから、剥かれたみかんを食べつついつも考えていた事をぽろっと言ってしまった。
「一緒に学生生活してみたかったよな」って。
それを同じコタツで寛いでいた爺ちゃんが、なんて事ないように言って来て目から鱗だった。
「同じ高校いきゃあ良い」
俺よりもあいつの方がすっげえ喜んで、爺ちゃんにめっちゃ頭下げてた。
「ありがとうございます!!幸せにします!!」
オーバーだなぁって思ってめっちゃ笑ってた俺。
「俺が嫁に行くみたいじゃん♪」
その日のうちに色々とあいつと爺ちゃんは話し合っていた。みたい。
俺はコタツで気持ち良くなったので、内容は知らない。
2日後にあいつの両親も4年?5年振りくらいに俺の家に来た。
相変わらずの美人夫夫。
あいつはママ似だなぁ。って改めて実感。
とりあえず俺は中学を卒業したらあいつの進学する高校に一緒に行く事と、一緒に住む事が決まった。
あいつのママが俺を抱きしめながら、「一緒に暮らすの楽しみねぇ。絶対に来てね。全力で応援するから!」
腕力凄くて意識飛びかけた。いや、飛んでた。
死んだ父さんと母さんが見えたのは気のせいじゃ無いと思う。
あいつの行く高校、すっごいレベルの高い進学校だったからめっちゃ勉強がんばった俺。
インターネットマジすげぇよね。文明に力にまじ感謝だった。
こんな離れて住んでるのに、パソコン付けたら目の前のモニターにあいつが居るもんな。
おかげで、パソコンの使い方もカメラの使い方も覚えた。
あいつはめちゃくちゃ頭がよくて、時間を割いて俺に勉強を教えてくれた。
離れていてもずっと俺を見ていてくれたおかげで、無事に受験に勝った!
あいつと一緒に受験番号を見つけた時は抱き合って喜んでしまった。
周りの視線に気づいて、ちょっとだけ恥ずかしくなって居た堪れなかった。
東京に行く日は、空港まで爺ちゃんが見送りに来てくれた。
「ちゃんと勉強して、しっかりご飯食べて、ゆっくり寝て、元気で過ごせ。」
ちょっと潤んだ目で微笑みながら、俺の頭を撫でる手が、暖かくて、気持ち良くて。
ずっとそのままで居たかったけど、あいつに肩を抱かれて、時間だよって言われたから。
最後にぎゅうって爺ちゃん抱きしめて、めっちゃ涙と鼻水でブサイクだったと思うけど、笑顔で「行ってきます!」って、手を振ったんだ。
初めての飛行機だったけど、肩を揺すられて気付いたら到着してた。
飛行機ってすごいね。ほんと一瞬だったよ。
よだれ出てたって、寝顔が可愛かったって言われたけど、ちょっと何言ってるのか。。。
あいつと住む所に着いたのは、夕方6時越えていた。夜ご飯は出前で頼んで家で食べた。
初めての家で食べたのは、握り寿司。一緒についてきたあら汁が上品すぎてちょっとだけ塩を足した。
とりあえず、移動で疲れた体をソファに沈める。
空港からは迎えにきてくれてた車で移動だったんだけど、この車が本当にやばい。
高級車って感じで、座席のクッション?乗り心地?全てが気持ち良すぎてずっと乗っていたかった。
あいつは後ろから抱きしめてきて、窓の外を指さしながら、あれが何かわかる?って耳元で言ってくるからくすぐったくて仕方がない。
ずっとあいつから香水かな?良い匂いがして落ち着く。
あいつを見るとこっちを見ていて、目が合うとドキドキが止まらなくて、あれ何?って誤魔化した。
ご飯の片付けも終わって、2人でソファに座りながらお茶飲んで、今はマッタリ中。
ちゃんと向かい合って、これからよろしくお願いします。って挨拶したら俺の腕を引っ張りあいつの膝の上に乗せられ、向かい合う形に。
明日は買い物行こうねって幸せそうに笑うから、あいつの肩に寄り掛かって俺はうんって頷いた。
俺は料理をあいつは掃除を担当して、買い物は一緒に。
近所を散歩して見つけた公園に桜があったから、翌日一緒にお弁当を持ってそこでお花見した。
一緒に作ったから味見もしたはずなのに、美味しい美味しいって何度も言うから俺の卵焼きを口に突っ込んで黙らしてやった。
夜遅くにママから電話があって、家においでと誘われたので行ってみた。
え?何部屋あるの?あいつの実家って旅館なの?ってくらい純和風のでっかい家で、通された部屋が何畳有るのか畳を数えてたら、あいつの爺ちゃんと婆ちゃんが来たからやめた。
「まぁ可愛い子ねぇ」
俺にお茶を出してくれながら、お婆ちゃんって呼ぶにはおかしく感じるほど若々しいのに、
「私の事はお婆ちゃんって呼んでね。いつでも遊びに来て。一緒にお茶しましょうね。」
エクボの可愛い笑顔で、つられて俺も笑顔になる。
「こんなに早く一緒になることを許すとは思わなかったが、これからだぞ。しっかり守っていけ」
渋顔のダンディおじさまが、あいつに言っている。
「わかっております。ですが、まだまだ未熟者ですので、ご迷惑をかけることもあるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。お爺様。」
深々と頭を下げてるので、俺もよろしくお願いしますと一緒に頭を下げといた。
「はいはい。そんな堅い挨拶もう良いわよ。このお餅美味しいのよ。」
お婆ちゃんに出されたお餅を食べながら、昨日した花見の事や田舎で作っていたお花見のおやつの話で盛り上がり、そのままお昼ごはんもいただいて居たらママとパパも合流。
みんなで楽しく話していたけどパパが職場に戻ると言うので俺たちも帰ることに。
車で送ってくれると言うのでそのまま甘えて、マンションに戻ってきた。
「そっか、もうここが俺の帰ってくる家なのか。」ってしみじみ実感。
「そうだよ。ここが俺と君の帰ってくる場所。2人の場所だよ。」後ろから抱きしめられて、背中から感じるあいつの熱に、重なる手の温もりにここが俺の居場所なんだと心がポカポカしてきた。
あいつが来るのが待ち遠しくて後何日か数えて、逢えたら嬉しくて、けど帰って行ったら寂しくて、そばに居ない熱を探して。
「もうずっと一緒なんだよな」微かにこぼれた小さな声に、
「ずーっとずっと一緒。放してあげられないからね。」甘いあいつの声で、俺はめっちゃ安心して涙が止まらなくなった。
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