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消えない恋心

この度は、弊社の〜と、家業を継いで社会人になり2年経った。今日は大手企業に自社製品を売り込みに来たわけだが。 なーんで、取引相手が元カレかなぁ?俺一応は真面目に生きてるんだけど、なんの嫌がらせかな? 名刺頂きましたが、同じ2年しか経ってないはずなのに、役職かぁ。 これだからイケメンは!!人生なんでもイージーモードかよ。 上司の後ろでついてきた俺とは大違いだな。 しかし、上司の仕事っぷりまじ惚れる。仕事ができる男ってカッコいいわぁ。 俺はパソコンいじってお手伝いです。細めのメガネとスーツの組み合わせとたまーに近づくと良い匂いすんの。ポイント高い。 無事に商談成立して、俺も上司もホックホクでこのままホテルに帰りまーす。 「あの!これ違いますか?」ってボールペン持ってエレベーター前まで元カレが走って来た。 上司のものでも、俺の物でもない。 「そうですか。もうお帰りになるんですか?」営業スマイルで俺に話しかけてくるけど、俺も貼り付けの営業スマイルで応戦するけど、喋らねーぞ。 「このままホテルに帰って、社の方に報告ですね。」上司は商談が決まって上機嫌でいい笑顔。今年35歳で、嫁大好き、子供大好きの家族思いのイケメン上司。 「じゃあご飯でもご一緒にどうですか?」うん。俺に話しかけんな。 「いいんですか?」ハハッ!上司、待つんや。俺はいやだ。マジ無理。何が悲しくて元カレと飯なんか行かねばならん。断固拒否する!! 「報告など残りの作業は俺がしておくので、上司どうぞ。」いや、ほんと、どうぞどうぞ。ごゆっくり。 イケメン二人絵になるねぇ。お、アイツの部下も来たからイケメン3人か。眩しすぎる。 「お先失礼します。」静か〜にフェードアウト。 させてくれねぇよなぁ!!営業マンそんなの許されねぇって知ってるわ!! がっしりアイツに腕掴まれて、逃げれないよね。営業スマイル貼り付けてるけど、めちゃくちゃ掴まれてる腕痛い。笑顔で耐えてるけど、これ絶対にあと残るやつやん。 ああああああああ!!ビールがまずい!!近くに良い店がって連れてこられた小洒落た居酒屋。4人席でなんで俺と元カレが正面に座ってんだよ。おかしいだろ!この配置がよ!!って何も言えないこの辛さ。 俺を置いてけぼりで、盛り上がる盛り上がる。イケメン3人の笑顔は目の保養になりますねぇって現実逃避中。 はっ!!神の救いだああああ! 「すみませんが少し電話してきます。」やっと抜けれたぁ〜おかん、ありがとぅ!!愛してるーーー!!帰りにいつぞやの高級お菓子買って帰ってやろうかな♪ え?間違い電話って何?ちょっと待ってお母様。お願い、何でもしないけど、もう少し電話しよ?ちょ!!まっ・・・・。あー切られた。一瞬で終わったやん。後2時間ここで粘れねぇかなぁ。無理かぁ〜かえりてぇええええええ!!ゲームでもいじってせめて15分は粘れるかな? 「電話は終わられたんですか?」誰もいないと思ってたから油断してたけど、いきなり後ろから、しかも耳に話しかけんな!!腰に来たわ!たくっこっちはご無沙汰だぞ。こんなとこで盛ってどうすんだ。 「え、えぇ。ついでに少し酔を覚まそうと思いますので、お気になさらず。」営業スマイルが引きつる引きつる。右頬ピクピク痙攣してないかな。 「ふーん、あそ。携帯番号教えて。プライベートのやつ。」素で話しかけてきてるけど、何だこいつ。 「営業も同じですので、名刺に書いてある番号と同じです。」ビジネスマンとしての顔を崩す気はございません。一昨日きやがれってんだ。バーカ。 「は?じゃあ俺のこれ登録しといて。」は?ご遠慮願います。って言いたいけど、仕事切られたら困るから拒否できない。まぁ次来ることないから、会うことも無いでしょう。 速攻で着拒や。 「着信拒否するなよ。」 「・・・・・・。」 また腕を掴まれた。マジで痛いんだよ!!何だよこいつ!こんなやつだったか? 青筋立てて睨みつけてくるけど、気に、気にしない・・・。営業スマイルはがすきないからな。 「どうかしたのか?」あぁぁぁん。上司は神様ですか?神ですね知ってます。ミスしてもフォローしてくれて、その後、何がダメだったのか的確に教えてくれるそんな上司みたいな彼氏が欲しいです。 「少し悪酔いしたようなので、ホテルに帰ります。申し訳ありません。」 「体調悪いのか?大丈夫か?熱はなさそうだけど、顔が赤いが酔ってるからなのか、判断がつかないな。」おでこに当ててくれてる手が、掌が気持ちいい。覗いてくる顔が近いのは気のせいかな?はぁ〜幸せだわぁ。 「心配かけてすみません。でも、大丈夫ですよ。昨日寝不足だったんで、そのせいですよ。」 「わかった。じゃあ俺も戻るわ。今日は誘っていただきありがとうございます。」 タクシーに乗って、去り際に元カレの顔見たけど、営業スマイルなんか剥がれ落ちて睨みつけるように見てたけど、本当に意味のわからない。 ま!もう会わないしな!今回はどうしても来れない兄貴の代わりに来ただけで、基本は経理だからな。 ホテルに着いてシャワーを浴びて、アイツに掴まれた腕に残る痛みと熱を思い出して、アイツに抱かれた熱を思い出して一人で慰めた。 この熱と一緒に俺のまだまだ消えないアイツへの思いもシャワーで流れてくれないかな。

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