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始まるきっかけ?
俺の通う大学には有名人が居る。
めちゃくちゃイケメンの葛西 士道(かさい しどう)君。
クールな和風男子と有名なんだ。
短髪の黒髪は軽く後ろに流して、太めの眉と切長の目、スッと通った鼻筋、唇は薄めで。
剣道をしていた身体は、背筋が常に伸びていて、それなりに筋肉が有る様に見える。
足も長く本当にいい身体♪
よし!今日も葛西君を観察できたので、世は満足じゃ。
俺は葛西君と同じ大学に通う赤川 一葉(あかがわ いちよう)19歳。
最近の趣味は、葛西君の身体観察!
惚れ惚れするほどいい身体なんだよねぇ。
葛西君は歩く芸術品だよ。
自分が160cm55kgのもやし体型だから、羨ましくて仕方ない。
「一葉、気持ち悪い」
俺の背中に鞄を当ててくるのは、同じもやしっ子の垣内 晴人(かきうち はると)君だ。
「えぇ、顔に出てた?」
「うん、ニヤニヤ気持ち悪い。」
同じ講義を受けるべく歩きながら、晴人君はうぇぇって顔してる。
「マジかぁでも、仕方ないよねーあの身体は素晴らしい!歩く芸術だよ!?なーんでわかんないかなぁ?」
「そんなに好きなら告白して恋人にでもなってもらえ。」
「恋人?なんで?俺別に葛西君の事好きじゃないよ?名前と顔と身体だけは知ってるけど、後は何も知らないし。興味ないよ?」
「あれだけ熱く語って置いて!?意味がわからない……。好きだからあれだけ熱心に葛西を眺めてるんだと思ってたのに」
「あははは。そうなのかぁ。見るのが好き=恋愛だったら、俺惚れ症じゃん。昔お隣に住んでたユリアン君はドール人形みたいにキレイだったし、中学の時は翔くんと道佳君って言う美人な双子でしょう。高校の時はスタバで働いてたミッチーさんは大人の男性って色気が半端ない人が居たしなぁ。大学では、葛西君!目の保養って大事だよ?分かるかね?晴人くん!」
「うーん、分からん。まぁ、恋愛感情じゃ無いって事だけは理解した。」
「あれだ!葛西君はテレビの中の人みたいなもんだよ。キレイだとか、かっこいいとかそう言う目で見るけど、そこに恋心が有るか?って言われたら違うじゃん?」
「あーそれなら分かる。恋だと話したい、そばに居たい、触れ合いたいって思うしな」
「うんうん。考えがわかってくれて嬉しいよ。晴人君。」
「じゃあさ、恋人になりたい人っているの?」
「恋人かぁ今はそういう人居ないかなぁ」
「なら俺と付き合うか」
突然、背後からの低い声に驚いて晴人君と同時にバッと振り返ったよ。
「「あっ……」」
仁王立ちの葛西君が居たよ。
驚きすぎて開いた口が塞げない。
「聞いてる?俺と付き合おうって言ったんだけど?」
「晴人君、言われてるよ?」
「どう考えても俺じゃ無い!!」
「晴人君?じゃなく君だよ」
「おれ!?お断りします!!」
「「は?」」
「いやいや、目の保養で十分ですので。興味も有りませんし。」
「士道が振られてる。」
涙ながら笑い転げてるのは、内田 愛夜(うちだ まなや)君だ。
内田君は洋風なイケメンで確か葛西君と友達だった気がする。
「そんな事より!晴人君、始まるよ!!」
晴人君の腕を掴んで、教室に駆け込めばギリギリセーフ。
こんな始まりの恋が読みたいこの頃です。
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