16 / 94

5.5話(藤美 黒)

俺は、生徒に恋をした。 紅は、俺の恋に答えてくれた。 紅がしてくれる事は、どんなに恥ずかしい事でも嬉しく感じる。 俺は、生徒を大事に思っている。 けれど、紅を困らせる者は生徒でも許さない。 『紅以上に大事な者なんていない。だから紅、俺を側にずっと置いてくれ』 初めて紅の弟の葵君に会ったのは、食堂で紅と白銀君が言い争いをしていた時で鈴矢君が連れて来た。 紅や白銀君、紫君は普段からは想像出来ない様な優しい態度で葵君に接してた。 鈴矢君もいつもなら人(この場合は紅や白銀君)に頼み事をされても面倒くさそうに仕方なくやるのに葵君には、葵君の食事を自分から聞き取り行ったのだ。 後から紅が葵君が紅の弟だと言ったので、紅達が弟だから葵君を可愛がっているのかと思った。 葵君は食堂に居る時ずっと仏頂面をしていたが、紅の弟という事は極道の人なのだから、なめられない為にそうしているのだろう。 例えば、紅と鈴矢君は、いつも飄々としていて、白銀君は、葵君と同じ感じで厳しい顔をしている。 放課後に俺の保健室に集まって話の続きをする事になった。 放課後になり俺は、みんなを待っていたが生徒に呼ばれたので書き置きをして保健室を出た。 生徒の用事(俺への告白だったが好きな人がいると言って断った)が終わったので、保健室に帰ろうとしていると途中で緑君に会ったので一緒に保健室に向かった。 保健室に明かりが付いていたので誰かを待たせてしまった様だ。 緑君と二人で謝りながら入ると葵君がベッドに座り足をぷらぷらさせながら少し寂しそうな顔をして居た。 葵君は、こちらに気が付いて恥ずかしく思ったのだろう顔を真っ赤にして近くにきて真っ赤な顔を困った顔にして『気を抜いていた』やら『忘れてくれ』と言った。 あんな可愛い事を忘れるのは無理だ。 とどめに、自分が恥ずかしいと小さくなっていく声で言われた。 俺も多分、緑君も我慢出来ないで葵君の頭を撫でて気を抜いていたとは、どういう事か聞いた。 葵君は、『ううぅ~。』と可愛い声をだしながら紅の大事な人しかいないと思ったから気を抜いたと言った。 俺と緑君は、変な声を出したが葵君にさん付けで呼んでもらう事になったので大丈夫だ! その後、紅達が来て葵君に俺達の関係を説明する事になった。 紅は、葵君をベッドに座らせたあと葵君の膝に頭を乗せいわゆる膝枕をさせてから説明していた。 最後に葵君が俺達の宝物と言う事で説明は終わったが、白銀君が説明している時くらい真面目にしろと言っている途中に、葵君に膝枕をしてもらっている紅が羨ましい!と驚くくらい清々しく言い切った。 葵君は、白銀君も膝枕をして二人の頭を撫でていた。 鈴矢君は、疲れたら容赦なく落としていいと言ったが葵君は自分も楽しいと答えていた。 幼馴染み組以外はみんな驚いて固まってしまったが、葵君がどうかしたのかと気にしてきた。 俺は、葵君に(葵君が居ると)いつもこうなのか?と聞くといつもこうだとこたえた。 葵君は、苦労しているみたいだなと思い頭を撫でた。 葵君は、頭を撫でている俺をじっと見てきたので、どうしたのか聞いた。 「撫でるの上手いな!今までで、一番気持ちいい」 と言って、俺の手を自分の頬にスリ寄せた。 葵君の顔がふにゃりと蕩けている。 俺に緑君と紫君が声援を出してくれるが俺は駄目かもしれない。 可愛過ぎて死ぬかもしれないと思ったのは初めてだ。 紅に葵君のコレを誰かに見られたらどうするのか聞いた。 「大丈夫、知ってもそいつすぐ消えるから」 と言っていた。 紅以上に大事な者はいないだが、俺達の宝物の葵君も大事だ。 紅は、普段の葵君を俺達以外に見せたくないのだ。 紅は、すぐ消えると言ったけどそれでも葵君を見られたら嫌な思いをするだろう。 俺達の宝物に近く者は、誰であれ俺が忠告してあげよう。体に教えれば分かるかな?

ともだちにシェアしよう!