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四章 葵虐め事件の決着への道 第51話(帰り道)
私は鈴の兄さんと手を繋いで家に向かっていた。
(ふふっ、本当にデートみたいで嬉しいな!)
「兄さん達には悪いが、やはりデートみたいで嬉しいな」
「デートか、、、葵ちゃん」
「ん?なんだ?」
「今度の休みにちゃんと二人でデートしよう?」
「、、、何処に?」
「何処でも良いけど、うーん、、、あ、そうだ!葵ちゃんが好きな水族館に行こうか?」
「、、、本当に良いのか?」
「もちろん!むしろオレが葵ちゃんをデートに誘ってるんだけど?」
「オレが鈴の兄さんの誘いを断るわけないだろう?それと、、、ありがとな」
そう言った瞬間、後ろから殺気を感じた。
(凄い殺気だ。鈴の兄さんも当然気づいてるだろうけど、、、いつ襲ってくるのかな?)
「、、、葵ちゃん」
「分かってる」
私達が人通りの少ない道に入ると一斉に襲って来た。
(うわっ、、、道に居た人も仲間か)
「龍蓮花 葵!死ねぇ~!」
“ドカッ!ゲシッ!”
「やはり、オレ狙いか」
“ゲシッ!”
「葵ちゃんは絶対に手を使わないでくれよ」
“バキッ!”
「分かったが、どれだけ居るんだこいつら?次から次へと、、、うぜぇ!」
“バシッ、ボカッ”
襲って来た人達(主に私に)を鈴の兄さんと一緒に片付けて居るけどまだ数十人居るみたいで片付けるのが大変そうだった。
(うわぁ~、、これ片付けるの?手を使えないから足だけで攻撃しないといけないのに、人数を見るだけで疲れる)
「おい、お前ら!一斉にかかるぞ!紅様達を奪おうとしている龍蓮花 葵はなんとしても仕留めるぞ!鈴矢様はアレに騙されてるだけだ!足止めだけにしろよ!」
「「「「おう!」」」」
そう言った後、私に一斉に襲いかかって来た。
(アレって私の事だよね?けど、この数に一斉に来られると、、、使わないと怪我するし仕方ないよね?)
「死ねぇ~!」
「紅様達を奪おうとする悪魔め!滅びろ!」
「許さない許さない許さない!鈴矢様はお前のモノじゃない!」
「俺達からあの人達を奪おうとする奴はこの世にいらない!」
「ちっ、面倒くせぇな」
“ベシッ、バシッ、パンッ、パシッ、ガシッ”
「なっ!」
「全部止めただと!」
「葵ちゃん!、、、使ったんだ?」
「、、、悪い、使わないと止められなかった」
手を使って襲って来た人達の攻撃を全部止めたけど、それを見た鈴の兄さんの声が怒っていた。
(私のせいじゃないよ!この人達が一斉に襲って来るからいけないんだよ!正当防衛だから!)
「、、、。」
“ドカッ、ボキッ、ガッ、ドンッ”
「ひっ!鈴、矢、、様?」
「な、何故?」
「何故?、、、葵が手に怪我をしてるのが見えねぇのか?」
“バキッ、ゴンッ”
「ひっ!」
「う、うわぁ!」
「オレは葵に手を使わせたく無かったんだがなぁ?何使わせてるんだ?」
“ガンッ、ドンッ、ボキッ”
「は、ひっ!あ、あ、」
「す、すみませ、すみません!」
「たす、助け、」
「本当はお前らみたいな奴らに葵を近づけたくも無かったってのに傷つけようとする上に触りやがって、、、死ね」
“ガッ、ドンッ、ボキッ、ドカッ”
襲って来た奴の残りは怒った鈴の兄さんが倒してしまった。
(鈴の兄さん、カッコいい)
「葵、手は?」
「痛みは無いから大丈、」
「そうか。だが、オレは使うなと言ったよな?」
「、、、。」
「帰ったらお仕置きだ。覚悟しとけよ?葵“チュッ”」
「っ~!鈴の兄さん!」
鈴の兄さんが意地悪く笑った後、私の耳にキスをした。
(私が耳弱いの知っててやってる!くっ、質が悪い!)
「手を使った葵が悪いんだろ?」
「だからといって外でする事じゃないだろ!」
「なら早く帰っ!葵!」
“バンッドンッドンッ”
「ぐっ、、ッ、」
「なっ!まだ居たの、、か、、鈴の兄さん?」
「ッ、、はっ、無事、、か?、、葵?」
「鈴の兄さん?どう、、し、、え?」
鈴の兄さんに触ると温かい液体が手に付いた。
(な、に、これ?赤い?、、、ッ!ま、まさか、血?)
「あ、鈴の兄さん!さっきの音は銃の音か!」
「あお、い、怪我、は?」
「オレは傷一つ付いて無い!怪我をしたのは鈴の兄さんだろう!」
「そう、か、良かっ、、」
“ドサッ”
「鈴の兄さん?鈴の兄さん!」
“ガチャン”
倒れた鈴の兄さんを支えて音の方を見ると男が銃を落として座り込んでいた。
「あ、あ、鈴矢様?う、嘘だ!オレ、オレが?ちが、違う!龍蓮花 葵が悪いんだ!あいつが居たから撃っただけなのに!あ、あ、ああああー!」
「な、逃げっ、、鈴の兄さん?大丈夫か!意識はあるか!」
「かはっ、ゴホッ、はっ、葵?あお、、、」
「鈴の兄さん?おい!鈴の兄さん!」
鈴の兄さんを撃った人が走って逃げて行ったので追いかけ様としたけど、鈴の兄さんを置いて行けなかったので動けなかった。
だけど、鈴の兄さんが気絶してしまったみたいで呼んでも反応しない。
(どうしよう!どうしよう!血、血が!鈴の兄さんの血が!)
「どうすれば?、、、鈴の兄さん、起きてくれ、、頼むから」
私は血だらけになってきた鈴の兄さんを抱きながら、現実味が無い光景に少しだけ呆然としてしまった。
(嘘だ、、、鈴の兄さん、嘘だよね?)
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