70 / 94

第52話(全て後でで良い)

少し呆然としてしまったけど、鈴の兄さんの血がどんどん流れていくのを見て正気に戻った。 「鈴の兄さん!くそ!どうすれば、ッ、、、泣くな!泣くな!そんなの後で出来る!今は、、そうだ!血を止めねぇと!」 私はカバンの中にあったタオルや着替えのシャツを傷口に当てて止血する。 (慌てるな!震えるな!私の感情なんて後でくれば良い!後で良いんだ!今は鈴の兄さんを助けないと!私の感情なんて後でで良い!今は冷静になれ!私!) 「くそ!血が止まらねぇ!鈴の兄さん、絶対に助けるからな!」 私の両手の包帯と一緒に私の手も鈴の兄さんの血で真っ赤に染まった。 (冷静に、冷静に、次は、、、) 「そうだ、オレ達の行き付けの病院に電話だ、、、携帯、携帯、あった」 カバンの中に入れていた携帯を取り出して私達家族(極道)の行き付けの病院に電話した。 鈴の兄さんの状態を冷静に電話で話して救急車が来るのを待った。 「なかなか、血が止まらねぇ。息はまだある、、、大丈夫だ」 いつの間にか私の震えは止まっていた。 あんなに五月蝿かった心臓も静かになった。 あんなに熱かった頭も少し冷えて冷静になっている。 (そうだ、これで良い。鈴の兄さんを助けないといけないんだから冷静で居ないといけない。その代わり、、、、私の事は全て後でで良い) 紅視点 鈴が撃たれたと家から連絡があり、狙われてるかも知れない奴らに連絡しながら病院に急いだ。 何だかんだ連絡して病院に着く前にみんな揃っていた。 (鈴、無事なのか?葵は大丈夫か?) 「龍蓮花の若様!鈴矢様のお部屋は二階の一番奥です」 「分かった、ありがとな」 看護婦に鈴の居る部屋を聞きそこに急いで向かった。 「、、、葵?」 「、、、兄、、さん?」 「葵、お前それは、、、」 鈴が居る部屋の前に葵が居てその葵に俺達は驚いた。 鈴と一緒に帰った葵が鈴の居る部屋に居る事は驚く事では無い。 俺達が驚いたのは葵の姿にだ。 「葵、その黒いのはなんだ?」 「、、、、?」 「その両手と腹の部分のその黒いのはなんだ?」 「、、、ああ、これか?これは鈴の兄さんの血だ。止血した時に付いたんだ」 「、、、鈴は無事か?」 「ああ、医者は明日には目を覚ますと言っていた」 「葵、お前は俺達が来るまで何をしてたんだ?」 俺はある事を確認する為に葵に聞いた。 (、、、葵に自覚はあるのか?) 「、、、何を?、、、特に何も、、、鈴の兄さんを見ていた」 「ここでか?部屋に入らないのか?近くで見た方が良いたろ?」 「ここでも見える。それに、今のオレはここが良い」 「今のお前?、、、葵、お前、、、」 そこまで聞いて俺は分かった。 俺はまだ少し距離のある葵の所に早足で向かった。 (葵、お前は分かってるんだな?だから部屋に入らないんだな?、、、今のお前が壊れるから)

ともだちにシェアしよう!