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第63話(やっぱり黒幕は)紫、灰炉視点

紫視点 ぼくと灰炉は最初は別々に行動する事にした。 ぼくはあいつに接触する機会が多いけどぼくから近づかなければあいつはぼくに接触する事は無い。 元々は紅と話す為に近くに居たあいつにも接触していただけなので関わらない様にする事は難しい事では無いのだ。 (灰炉は菫達を送って行ってる頃か。今日のあいつには特に変化は無かったな) 「紫」 「なに紅」 「今日はあまり深入りはするな。もし深く探るなら灰炉と一緒の時にしろよ?」 「分かった」 「俺は鈴矢の所に居る葵の迎えに行くから今日はお前も帰れ」 「うん」 その後の一週間は特に何も無かったけどあいつを監視して気づいた事はある。 あいつ、、、縁完はいつも笑っているけど良く見ると紅達に向けてる笑顔は自然な笑顔なんだけど他の奴と話している時のあいつの笑顔は作り物みたいで気持ち悪かった。 笑っているのに笑っていない例えるなら好きな人には心からの笑顔を見せるけど、そうじゃない人には一切の表情も動かさない無表情みたいなものだ。 好きの反対は無関心とは良く言ったモノだと、紅達と居る時とそうじゃない時の縁完を見る良く思う。 無関心な人に向ける笑顔は関心が一切無いから表情を動かすのも面倒臭いと思っているんだろう。 (あいつが心から良く笑うのは紅が居る時が多い。特に笑うのは紅と白銀が一緒に居る時みたいだ、、、何でだろう?ぼくや緑の時も心からの笑顔で話してくれるけど白銀の時は特にその傾向が強い気がする) 灰炉視点 鈴矢さんが学校に戻って4日がたった。 オレは赤木 縁完とは会った事が無かったので良く知らないがお兄様と話してオレも同じ事を思った。 あいつの他人に向ける笑い方は気持ち悪い。 まるで感情が無い人形が笑ったかの様な気味が悪いモノの様に思った。 「灰炉!こっち来いよ!」 「え?灰炉ってあの灰炉?」 「何で知り合いなんだよ!紅」 「灰炉って一つ年下のあいつか?」 紅さんがあの三人と一緒に居る時にオレを呼んだ。 そこには紅さんと例の三人とお兄様と鈴矢さんと白銀さんが居る。 (正直あそこに行きたくねぇ。目立つ。あそこだけ何か華やかなんだよな、、、行きたくねぇ) 「お、来たな。こいつ咲見 灰炉」 「知ってる」 「灰炉」 「なんだよお兄様」 「お」 「兄」 「様?」 「見事に揃ったな」 「こいつらに自己紹介して」 「、、、咲見 灰炉だ。お兄様、、、紫さんの弟とお付き合いしてる」 自己紹介したが三人はオレのお兄様発言から戻って来ていないみたいだ。 (面倒臭ぇ) 「オレが紫さんをお兄様と呼んでいるのはすみ、、弟さんと付き合う条件が紫さんをお兄様と呼ぶ事だったからだ」 「、、、紫」 「それはあまりにも」 「可哀想だぞ?」 「お前ら何でさっきから三人で揃えて喋ってんだ?」 「別に可哀想じゃないよ。ぼくがそう言ったら直ぐにお兄様って言ってきたからそいつ」 え?っていう感じの顔で三人にガン見された。 (お兄様って呼ぶだけで菫が保護者からの公認で手に入るんだから安いもんだろ?) 「何か問題でも?」 「え、あー、いや、無いよ?」 「即決断するのは凄いと思うぞ?」 「それで良いのかお前は?」 「欲しいモノが手に入るなら安いもんだろ?」 オレがそう言うと三人は示し会わせたかの様に驚いた顔をした後にニヤリとした顔になり頷いた。 (確かに紅さんの友達だな。みんな深い所では類ともかよ) 「君とは仲良くなれそうだな。オレは赤木 縁完、縁完と呼んでくれ」 「俺は時根草 夕、夕と呼んで良いぞ。よろしくな灰炉」 「俺は花乃宮 剣聖、剣聖で良い。紅と親しい奴は本当に類ともが多いな(葵とは大違いだ)」 「よろしくな、先輩達」 剣聖さんの最後の言葉は聞き取れなかったが確かにここに居る奴は紅さんと類ともだろう。 その後オレは三人と握手をしたが縁完さんと握手した時に少しだけ違和感があった。 (能力を使われたのか?普段は能力を使われても気づかないで無効にしてるが、、、それだけ強い力って事か) 紫視点 灰炉を三人に紹介した後にチャイムが鳴りそれぞれの教室に戻ったがぼくと灰炉はサボり屋上に居た。 「それで分かった事は?」 「さっき握手した時に違和感があった。いつもは無意識に能力を無効にしてるがあの人の能力は違和感を感じたからかなり強い力なんだと思う。あの人が黒幕かそれにかなり近い人である事は間違い無いと思う」 「そうか」 「それとあの三人血の匂いがするが何でだ?」 「話して無かったっけ?あの三人は紅や白銀と同じ家柄、、、極道の偉い地位に居る人の子供だよ」 「なるほど、血の匂いがするはずだな。それでお兄様の方は?」 「ぼくの方で新たに分かった事はあいつ紅と白銀だけじゃなくて鈴矢にもかなり心からの笑みを向けてるよ」 「鈴矢さんにも?幼馴染み組の三人にはかなり気を許してるって事か?」 多分そうなのだろけど何か違和感があった。 (何か、、、見落としてる?何を?、、、紅と白銀と鈴矢、、、三人の共通点?、、、三人、、あ、) 「それだけじゃない。あいつはあの三人が一緒に居るのを見て満足そうに笑うんだ」 「三人が一緒の時?」 そう、あいつは紅と白銀と鈴矢が一緒に居るのを見た時、本当に満足そうな顔をして笑ったんだ。 (あれは何ていう顔なんだろう?知ってる様な気がするんだけど、、、) 「満足そうななんともいえない顔をして笑ったんだ」 「満足そう?、、、理想郷でも見たのか?」 「それだ!理想郷。あいつ自分の理想が叶った様な満足そうな顔をしたんだ」 「あの三人が一緒に居るのがか?」 「多分」 「これも紅さんに報告するのか?」 「一応する。どんな小さな事でも何かのヒントになる時があるから」 「分かった。そこんところはお兄様に任せるよ」 「うん。今日は縁完の後を少し着けてみるから灰炉も一緒に行くよ?菫達の迎えは鈴矢に任せて最後の仕事をしよう」 「分かった、お兄様に従いますよ」 ぼくと灰炉は放課後に縁完の後を着けてある事を目撃する。 (やっぱり黒幕は、、、縁完か)

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