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第66話(葵溺愛監禁ルートに今のところ一直線です)
白兄が調べたところ特に夕さんに変な所はなくいつも通りだったらしい。
「ただ、、、」
「どうかしたのか?」
「縁完の様子が最近よりおかしくなったと言っていた」
「様子がおかしくなった?俺は感じた事はないが、、、よりおかしく?」
「ああ、夕が言うには縁完に初めて会って二年いや、一年半くらいしてから縁完の様子が少しずつおかしくなっていったらしい」
「初めて会ってから?、、、葵がこの学園に来る前か」
「縁完の様子が少しおかしくなったのを夕も最初から気づいたわけではなく、剣聖に言われてから縁完の事を注意して見ていて気づいたと言っていたからな」
「剣が初めに気づいたのか。確かにどんなに仲良くなっても何処か冷静なあいつなら少しした俺達の違いを気づいても不思議ではねぇな。だが俺は一切あいつが、縁がおかしくなっていたのを気づかなかった、、、俺が鈍かったのか?」
兄さんがそう聞くと白兄は横に首を振り少し戸惑った様な顔をしながら話した。
「いや、わたしも気になってそう聞くとわたし達が鈍かったわけではないみたいだ。夕が言うにはわたし達の前では普通だったらしい」
「は?」
「縁完はわたし達の前ではおかしくなる前の縁完のまま自然に居たのでわたし達が気づかなくても仕方ないと言っていた」
白兄は夕さんに聞いた事を詳しく私達に話した。
「夕が縁完の事を話してきたのは少し恐くなったからだと言っていた」
「恐く?」
「ああ、縁完がここ最近かなりおかしくなっているのを気づかなかった自分に恐怖を抱いたみたいだ。だから最初は縁完がおかしくなっているのを知っている剣聖にも少しだけ聞いたらしいが剣聖の方も気づいていなく、その事に恐怖していたらしい」
「特殊能力のせいで色々気づかなくなってたのか?」
「多分そうだろう。夕はその事をわたしに相談してきたのは縁完がもうヤバいくらいおかしくなっていたからだと言っていた」
「ヤバいくらい?」
「ああ、縁完がわたし達の前でもおかしくなっていた部分を段々と隠せなくなっていたかららしいが、わたし達はそんな事を感じた事は無いと言うと『あいつ俺らがよそを向いてると信じられないくらいの真顔になるんです!感情が無い様な一切の無表情になるんですよ!あと白銀様達が気づかないのは多分ですが白銀様達があいつの方を向くといつもの縁完になっているので気づかなくても仕方ないです。けど白銀様達の前でもああなるくらいおかしくなっていたのに俺は一切気づかなかったんです。剣聖も何であんなにおかしくなっていたのに気がつかなかったのかって恐がってましたよ』と言っていた。それとおかしい部分とは何か聞いたが夕も良く分からないが、おかしいとしか思えない感じだったと言っていた」
「これは剣の方にも聞かないとならねぇかもな」
「あ、白銀先輩の報告は終わりました?なら次はボクですね?」
「ああ、頼む」
兄さんも白兄も真剣に話していたけど話している時に私の頭を撫でていた。
(少し不安なのかな?仕方ないか、縁完さんは兄さん達の友達だもんね)
「ボクの方はそんなに今回の事件には関係無い事が多いいんですけど、、、まずは今回の事に関係している様な事を話しますね?」
「ああ」
「剣聖先輩に関しては今回の事に関係ある事はあまり無かったんですが、一つだけ気になる事がありました」
「なんだ?」
「その時たまたま少し離れた所に居た縁完先輩を見て無意識だと思いますけど『何であいつはあんなに、、、助けを求めてるガキが泣いてるみてぇだ』って言ったんです。ボクはどうかしたんですか?って聞いたんですけど何でもないって言って誤魔化されました」
「、、、やっぱり剣には色々聞かないとならねぇな、、、夕と剣に事情を話して俺らに協力してもらうか」
「その方が良いだろうな。夕はわたしから事情を話しておこう」
「頼む。剣には俺が色々聞いて事情を話しとく。鈴は白と一緒に居てくれ」
「分かった。夕が何もしない様に見張っとくよ」
「夕は何もしない、」
「あの時は事故だったかも知れねぇがまたそれがねぇとは限らねぇからな?」
「、、、はぁ、分かった」
兄さんが独占欲を隠すことなくそう言うと白兄は諦めて(もしくは、面倒になったので)了承した。
その時、少し言いづらそうに緑さんが兄さんに話しかけた。
「その、紅先輩」
「ん?どうした?」
「その、今回の事に関係無いんですけど報告した方が良いと思ったので言いますね?、、、剣聖先輩は葵に惚れてます」
「、、、はぁ?」
「しかもめちゃくちゃ惚れてます!葵の名前を出しただけで葵を思いだして顔を赤くするくらい惚れてます!」
それを聞いたみんなが驚いて固まってしまった。
私もびっくりして白兄の腕の中で固まった。
(え?、、、ええ?剣聖さんが私に惚れてる?)
「、、、あいつオレが葵ちゃんと付き合ってるの知ってるよな?」
「知ってます。けどそれでもかなり惚れてました。遠くから見かけて今日一日が幸せだとか言ったりしてるくらいですからね」
「、、、あー!くそ!やっぱり葵の素の顔を見せるんじゃ無かった!そりゃアレを見れば惚れてもおかしくねぇよな!可愛かったもんな!あの時あそこに居た奴ら全員殺してぇ!記憶を無くさせてぇ!」
「もし実行する時はわたしにも言えよ紅、、、協力する」
「オレも」
兄さんが白兄と一緒くたに私を抱き締めて叫んだ。
白兄と鈴の兄さんも兄さんの言った事に同意していた。
「やっぱり外は葵には危険過ぎるよな?」
「これからもっと葵に群がる獣共が増えて来るだろうしな」
「あー、、、このまま本当にオレ達が学園を卒業するまで待てるか?、、、けど、葵ちゃんの為にももう少し我慢しねぇとな」
「そうだな。学園では今まで以上に俺達が葵を気をつけて見ればいいよな?」
「そうだな、そうすれば何かあっても葵を守ってやれるからな。今回は葵の為に我慢しよう」
「おう、そうだな」
そんな事を話して兄さん達は少しだけ落ち着いてきたみたいだ。
(アレ?これはヤバいんじゃ?)
{ヤバいよお姉ちゃん!葵溺愛監禁ルート一直線だよ!}
{今回は大丈夫そうだけど時期が早まったんじゃない?}
{暗、菫、、、二人もやっぱりそう思う?今回の事でそのルートにかなり傾いてるよね?}
{うん。葵ちゃんは紅さん達三人が卒業したらどっちにしろ外に出る事無くなるよね?}
{まぁね。三人の希望みたいだからそれは別に良いかなって思ってるけど、私としてはみんなと学園生活をもう少し楽しみたいから兄さん達が卒業するまでは待ってて欲しいんだけどね}
{ん?三人の希望って言ってるけど葵は直接聞いたの?}
{ううん、寝てる時に鈴の兄さんが話してたのを聞いた。だから三人は私がそれを知ってるって知らないよ}
{そうなんだ。私もまだ葵と一緒に学園生活とか外に遊びに行くのとかしたいからもう少し待ってて欲しいよ}
{私も暗と同じ意見だよ。今回の事が終わったら三人で遊園地とか動物園とかそういう所に行こうよ}
{それは良いね。何処に行くかはそれぞれ考えてから行こうか?}
{{うん}}
私達が(心の中で)話していると兄さん達は落ち着いたのか話を進めていた。
「ぼく達の報告をしていい?」
「いや、紫達の前に俺が調べた事を報告する」
どうやら兄さんも何か調べていたらしく紫さん達の前にそれを話してくれるみたいだ。
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