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第12話
「ったく、本気で壊されるかと思ったんだからな!」
辰巳が上半身を起こして僕の膝に座り、胸に体を預けて悪態をついているが、さっきまでの泣きじゃくる辰巳を見た後では、怖いよりも可愛い姿が思い出され、ニヤニヤと口元が緩んでしまい、辰巳に鼻をつねられた。
「イテッ!」
「しかし、クラスメイトとシちまうなんてなぁ…」
やっぱりヤバいよなぁとため息をつく。
「何で?」
「俺と一緒にいたら色々とさ、まずいだろ?先生の評価とか、周りのやつの目だとか…さ。
いいか、例のオヤジの事と一緒に、今夜の俺とのコトも忘れろ!」
「嫌だ!僕は辰巳といたい!!評価とか目なんて、そんなの気にしない!」
辰巳のことをぎゅっと抱きしめた。
「やめろって!木島のためなんだから言うこと聞けよ!」
そう言って僕の腕を外すと、帰るぞと言って立ち上がろうとする。
「嫌だ!!慣れたら、僕をどうとでもできるって言ったじゃないか?!」
「あれはそう言う状況だったから…っ!だけど冷静になって考えれば、お前の事を思えば無理だって…分かるだろう?今夜の事はこれで終わり…そう、これで終わりだ。」
辰巳が何かを振り切るように首を振って立ち上がった。
「始まってもいないのに、終わりだなんて言わないでよ!」
「始まる前だから、後腐れなく終われるんだろう?ただ一回の遊びとして…」
「辰巳は始まってなくても、僕はもうとっくに始まってる!後腐れなく終わるなんてできないよ!…:だったら、ここで内緒でスればいいじゃないか?誰にもバレないよ、ここなら。」
「ダメだ。お前は俺に関わっていいようなやつじゃない…」
「イヤだ!イヤだ!イヤだ!!僕は辰巳といるんだ!!」
叫ぶように言いながら、辰巳の腰を掴んで引き戻す。
「バカっ!危ないだろう?!」
「だったら、そんなこと言うなよ!」
「…っかんねぇやつだな!お前の、木島のためなんだから、今夜の事は忘れろって言ったら忘れろっ!!」
辰巳がギラッとした目で睨む。
「そんな風に睨んだって、辰巳があったかい手を持った優しい人間だって分かっている僕にはきかないよ。」
「ちっ!」
「僕は辰巳が好きなんだ!だからずっと一緒にいたいって思うのは当たり前だろ?」
「お前のは助けられて、初めてこういうコトされて、それでかんちがいしてるだけだって。ホントの好きじゃないよ。」
そう言ってまたも立とうとするのを、やはり腰を掴んで引き戻す。
「木島ぁ、いい加減にし…ろ…って、おい待て!」
辰巳が僕を見て青ざめていく。
「そんなホントの好きとか分からないけど、それでも僕は辰巳が好きなんだ!それを否定する権利なんて辰巳にだってないはずだ!僕は離れない。辰巳とは絶対に離れない!」
「分かったから…木島、よく分かったから、落ち着け…な?」
「そう言って、結局は僕から離れる気なんだろう?」
「違うって…木島、離れないから落ち着けって。」
お尻を床につけたままで、後ずさろうとする辰巳の腰を掴むと、辰巳が青ざめて体をばたつかせた。
「そんなの絶対に許さない!僕はまだ辰巳といたいんだ、離れたくないんだ!」
「分かったから、離れないから…だからそれを落ち着かせろって…な?」
辰巳が僕をなだめるように言って、股間を指でさした。
「…。」
「木島、どうした?」
「分かったよ、辰巳…」
「え?あ、そうか、分かってくれたのか?」
「分かったよ、僕達二人にはまだまだお互いが足りてないって事がね。」
「え?木島、何を言って…」
「僕たちはまだまだ離れちゃいけなかったんだ。繋がって、お互いをもっともっと深く知り合わなきゃ!」
そう言って、僕が掴んでいた辰巳の腰をむりやり引き寄せた。
「やめっ…いやだ!やだ、木島、もう頼むから…いや!もっ…イヤだあああああああぁぁぁっ!」
辰巳の穴の中に再び僕をぐぐっと沈めていく。先ほどまで僕を受け入れていたそこはそれでもやはり固く、なかなか入ってはいかない。それが辰巳が僕を拒否しているように感じて、無理矢理ねじ込んでいく。
「やっぱり僕達は繋がってなきゃダメだったんだ。辰巳にも僕のこともっと知ってもらいたいし。」
「木島…ひあっ…やめ…って…はぁっぁああん!」
辰巳が僕から逃げようとするのを、両脇に腕を入れ、ぐいっとのけぞらせると、辰巳の体重もかかり、僕のが一気に辰巳の奥深くにズブズブと入っていった。
「いっ…あああああああぁぁっ!!!あっあっあっあっああぁぁぁ…」
この夜、一番大きな悲鳴をあげて辰巳の体からガクンと力が抜けた。
その腕を持って腰を突き動かす。
「こうして、お互いの事をもっともっと深く知ろうよ、ねぇ辰巳。そうすれば、僕と離れたいなんてきっと思わなくなるよ。だからもっともっと深くつながらなきゃ!」
そう言って、辰巳と僕の体が離れないようにぐぐっとさらに腰をくっつけていく。
「あっ!ああっ…んっくぅぅ…っかったから、もう…っすけ…て…きじま…ぁぁぁぁあああっ!」
気がついた辰巳が再び悲鳴を上げる。
「辰巳の中、すごい気持ちいいんだ。もうこのまま僕らずっと一緒にいようよ。こうやって繋がったままで…さ。」
最悪の日はいつの間にか終わりを告げ、僕達の新しい日が始まっていた…。
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