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第19話

「――ッ、~~~ッ、が…は…っ、ぁ…、」 首筋に… まるで赤く焼けた灰かき棒でも押し付けられたかのような灼熱を感じながら―― 加賀は苦し気な呻き声を上げながらも、自分に(またが)る金雀枝の肩を強く押し どうにかして自分の上から金雀枝を退かそうと試みるが―― それでも金雀枝の身体はビクともせず… それどころか金雀枝は更に強く加賀の身体を押えつけながら血を(すす)り… 時折金雀枝が噛みついている首筋からは、金雀枝の生ぬるい舌先が触れ―― その感触に加賀のあらぬ場所が反応してしまい… 「…ッ!、、ふっ…んぅ…、」 加賀の表情からは苦痛だけではない色が浮かび… 呻き声からは苦痛に入り混じって悩ましい吐息までもが漏れだす… そこに今まで加賀の首筋に噛みついていた金雀枝がゆっくりと顔を上げ… 荒い呼吸を繰り返し…視点の定まっていない加賀に視線を合わせると 口の端に少し着いてしまった血を親指で拭い… 更にはその親指についた血を(なま)めかしい赤い舌で舐めとりながら 金雀枝が(つぶや)いた… 「はっ…ぁ…おいし…、ン…、加賀君の血…甘くて…すっごくおいしい…」 甘い吐息と共にウットリとした表情でそう呟き… 金雀枝はついさっきまで自分が噛んでた部分から プツ…と小さく血を(あふ)れさせる加賀の首筋に再び顔を近づけ ヌルリ…とその血を舌で這うようにして舐めとると 加賀の胸に手を突いてゆっくりと上体を起こし… 未だ自分の身に何が起きたのか分からないと感じに茫然と横たわる加賀に向け 金雀枝が妖艶に微笑みながら口を開いた… 「こんな甘くて美味しい血…今まで飲んだ事がないよ…加賀君…  それにしても――」 金雀枝が加賀に跨ったままオーダーメイドのスーツを無造作に脱ぎ棄て―― ネクタイをシュルシュルと解いていく… 「この血のせいでもう…、ッ、色々と…限界なんだよね…“俺”…」 外したネクタイを上着と同じく興味なさげにその辺に放ると 今度は自分の着ているワイシャツのボタンを 加賀が見ている目の前でプツプツと外し始め… 「…ッ、金雀枝さん…っ、一体何を…」 それに焦った加賀が両肘を床につきながら上体を起こそうとするが―― 「ダメだよ?加賀君…」 加賀の腹の上に跨っている金雀枝が 輝きの増したように見える金色の瞳で加賀の事を見下ろしながら… 片手でグッと加賀の胸を押し、その行動を制してしまう… 「…加賀君には――俺がこうなった責任をちゃんととってもらわないと…」 ワイシャツのボタンをすべて外し終えた金雀枝が 加賀の手を両手で握り…妖艶な笑みを浮かながらそう呟くと―― 握ったその手を肌蹴たワイシャツの隙間から覗く、露わになった自分の胸へと導く… 「ホラ…」 「ッ、」 金雀枝に導かれて触れた金雀枝の肌は―― 同じ男性のものとは思えない程(すべ)らかで… ―――冷たい…まるで死人のようだ… しっとりと汗ばみ… 加賀の(てのひら)に吸い付くようなその白くて冷たい肌の下からは トクッ…トクッ…と…微かに脈打つ金雀枝の心臓の鼓動を感じ―― ―――でも…生きてはいるんだな… 呼吸を乱し…ゆっくりと上下に揺れる金雀枝の薄い胸板に手を触れながら―― その掌から微かに伝わってくる金雀枝の鼓動に少し安堵し… 加賀は戸惑いと困惑に満ちた瞳で自分の上に跨りながら自分の事を見下ろす金雀枝を見つめる… すると金雀枝が何とも言えない…切なそうな表情で加賀に微笑みかけ―― 「…加賀君のせいで…俺の鼓動…こんなに高鳴ってる…  どーしてくれんの…」 「どーしてって…」 切羽詰まった金雀枝の表情に目が釘付けになり… 加賀の喉が無意識にコクン…と鳴る… 「責任…、とってよ加賀君…、ッ、はっ…ン、、  俺を――発情(こんな)にした責任を…、」 「金雀枝さ……ンッ、」 突然金雀枝の冷たい唇が、加賀の熱を帯び始めた唇と重なり… 金雀枝の生ぬるい舌が…唾液をたっぷりと含みながら加賀の口内へと侵入し… 加賀の口の中には微かな鉄の味が広がる… 「え、にしださんっ、まっ…、ッ、」 「ンッ…ダメ…、ッ、まてな、いっ!」 ハァッ、ハァッと互いに呼吸を乱しながら… 金雀枝の舌先が奥へと引っ込もうとする加賀の舌先に触れた瞬間 まるで獲物を捕まえた蛇のように金雀枝の舌が加賀の舌に絡まりだし… 「ふッ…ンッ、」 二人の舌がどちらともつかない口内を ピチャピチャと卑猥な水音をたてながら暴れ回る… 「んっ…ふぁ…ッ、ンッ、、えにしっ、ンンッ、」 「ンッ…ンぅッ…ン…」 逃げる加賀の舌に必死に自身の舌を絡めながら―― 金雀枝が両手で加賀の着ているワイシャツをグッと握る… 次の瞬間、金雀枝がそのワイシャツを勢いよく胸元からバッと大きく広げ―― 「ッ、」 辺りにはブチブチブチッ!と、ボタンが布から引きちぎられる音とともに 大理石の床の上にパチパチと(はじ)かれながら飛び散るボタンの音が小さく鳴り響き… 金雀枝の冷たい両の掌が 加賀の剥き出しになった割れた腹筋や、逞しい胸板を(まさぐ)り出す… 「…ッ!金雀枝さん…っ、くッ…これ以上は…ッ!」 「ッぁ…はぁっ、はっ…かがくん…、」 加賀がなけなしの理性を振り絞り―― 自分の身体を弄る金雀枝の片手を強く掴む… しかし金雀枝が蕩けきった笑みを浮かべ… 自分の下で呼吸を乱す加賀を見下ろすと 加賀に掴まれていないもう片方の手で 先ほどから自分の尻に擦れるようにして当たり… スラックス越しにテントを張りだした加賀の股間にソっと触れる… 「―――ッ!」 「はっ、ぁ…すご…、加賀君のココ…もう…こんなになってる…」 金雀枝の手が、スラックス越しに硬く勃ちあがっている加賀のモノを握りこみ―― 布越しにゆるゆると上下に扱き出す… 「あっ…くッ…ぅ、ッ、ダメですって金雀枝さんっ!ホント…ッ止めて下さい…っ、」 「はっ…ンッ…ねぇ…かがくん…、ッ、」 情欲に濡れながら揺れる金色の瞳が―― やはり情欲の色を(にじ)ませ… その事に戸惑を感じながら揺れる加賀の瞳を静かに見返す… 「俺…、ッ、もう…欲しいの…っ、んっ…かがくんの…コレが…っ、」 「ッ」 加賀に跨ったまま片手を後ろに回し… 加賀のモノを緩く扱きながら自分の尻に硬くなってるソレを 興奮で揺れだした腰に合わせるように、スラックス越しに擦り付る… 「、ッ…は、ぁン…、お、ねがい加賀君…っ、ンッ…ンッ…俺もう我慢できな…ッ、  あっ、あっ、おねが…、ンぅッ、お願いだからぁっ!  かがくんのコレで…俺を満たして…、っは…俺を…無茶苦茶に貫いて…っ!」 「ッ、金雀枝さん…っ!」 蕩けた顔で…口の端から涎を垂らしながらそう叫ぶ金雀枝に 遂に加賀の理性がブッ飛び… 気づけば自分の上に跨る金雀枝の肩を強く掴みながら起き上がると 今度は立場が一転…加賀が金雀枝の躰を勢いよく床の上に押し倒していた…

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