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11.暗がりで囁いて戯れ言
ズボンをずり下げられ、下腹部が露出する。そこには、性器が収納されているスリットがあった。
セスの指先が割れ目をなぞり、中に入ろうとしてくる。
「やめ、あっ」
その刺激に性器は勃起して、ずりゅんっ、とスリットから飛び出す。勢いが良すぎて、セスの鼻先にぶつかりそうだった。
ヒクヒク震えている性器を見て、セスは意地悪な顔をして亀頭の先に息を吹きかけてくる。
「ん、ぅ」
「しつけのなってねぇちん×だ」
赤い舌を出して、セスはそこに顔を寄せる。ギョッとしたが、止める間もなく舐められてしまった。
冷たい舌が、体液に濡れた竿を舐める。あまりの快感に、腰が跳ねた。
「んう、うっ」
「敏感だな」
「だ、って、仕方ありません、貴方が、触れてくれたら、嬉しくて」
素直にそう言うと、セスは目を細めて先端に食いついた。舌の先で鈴口をチロチロと弄られ、同時に根元のあたりを手で扱かれる。
自分の性器を、愛しい人が咥えているという喜び。しかも、こんなにも格好良い、自分よりもはるかに老練なヴァンパイアハンターが。
背徳感と優越感に、マティアスの体は昂り切っていた。
「んぷ、う、んっ」
「もう、ああ、出そうですセスさんっ」
「はぁ、ハハ。いいぜ、ここに出せ」
大きく口を開けて、セスは赤い喉を見せつけてきた。ひくつく咽頭が、まるで性器のように見える。伸ばした舌の上に亀頭を乗せたまま、シュッシュと手淫された。
「あっ、うっ!」
堪えきれず、本当に喉の奥めがけて射精してしまった。先端から吹き出す白濁が、舌を伝い喉へ流し込まれていく。こくりと喉が鳴って、それはセスの中へ飲み込まれていった。
精液を、飲んだ。
眩暈がしそうなくらい、興奮する。
ビュルビュルと大量に出てしまって、流石に飲みきれないのか口から離された。顔に白濁がかかり、髪を汚す。
支配欲が満たされて、たまらない優越感を覚える。肉体的な快楽だけでなく、精神的な興奮も凄まじかった。
「っ、はぁ、すげぇ量だな。この絶倫野郎め」
手の甲で顔を拭いながら、呆れたように言うセスの髪を撫でた。サラサラしていて、とても気持ち良い。そこに、とろりとした粘液が絡んで束になっている。
「……どんな味がしましたか?」
そう問うと、セスは精液が絡んだ指をマティアスの鼻先に突きつけきた。青臭く淫らな性の匂いがする。
「舐めてみろよ」
「自分のは、嫌です。貴方のならまだ、っむぐっ」
無理矢理口に指を捻じ込まれ、生臭くて少ししょっぱい味が口に広がる。慌ててセスの指を引き抜き、ハンカチで口を拭いた。
こんな不味いものを、よく飲めたものだ。
セスは口元を意地悪に吊り上げ、困っているマティアスを見ていた。
「うう。まずい、です」
「そうだな。口から飲むもんじゃねぇ……こっちからの方がいい」
セスは自分の前を寛げると、するりと下を脱いでしまった。露出した性器は、完全に上向いている。人間の性器は竜人と違い、体格にしては少し小ぶりで、ツルツルしたキノコのような見た目をしていた。とても可愛らしく、愛しげな形だ。
そして、その奥。セスが足を大きく開いて見せつけてくる後孔。ピンク色で、綺麗な性器だ。
彼はその総排出腔 にペニスを挿れて、中に出せと強請っているのだ。その事実だけで、射精してしまいそうだ。
さっき射精したばかりなのに、また性器が硬くなり、早くセスに入りたいと訴えた。
「舐めて濡らせ」
促されるまま、そこに顔を寄せる。匂いは気にならない。むしろ、酷く興奮した。硬く閉じた肉の輪を舌でなぞる。唾液を絡めて、音を立てて舐めた。
「ああ、いいぜ。中もだ、ほら……」
ツノを掴まれ、グイッと引き寄せられる。言われるがまま、舌を硬く尖らせ中に突き込んだ。
唾液を送り込みながら、愛撫する。
「んっ、ふうっ、ふふ」
押し殺した笑い声に、目線を上へ向ける。
つゆをタラタラと垂らしているペニスの向こうから、セスが煽情的な目でこちらを見下ろしていた。
目が合うとたまらなくなり、舌を引き抜いてセスの体を抱き起こす。埃っぽい床に寝かせるのが嫌で、膝の上に乗せた。されるがまま抱かれ、セスはこちらを見下ろして嗤っている。
「がっつくな。慌てなくても……好きなだけヤれるんだ」
そう言われても、早くセスの中に出したい。その欲求を、抑えられない。
勃起したペニスを押し当てると、セスは一瞬苦しげに顔を歪めた。濡れていてもなかなか入らない狭い穴に、力尽くでねじ込んでいく。
セス自身も体重をかけて、手伝ってくれていた。
「あぐ、うっ、ふうっ!」
一番太い亀頭を押し込めば、後の竿の部分は体重をかけて挿れていけば入った。ゴツゴツしたペニスが内壁を擦りながら奥へ進み、セスの中を占領していく。
「あ゛、ぐあ、あ、熱、う、う」
根元まで埋まり、奥にある壁のようなものに亀頭が突き刺さる。苦しげに、セスは喘いだ。竜人の性器は人間のそれより大きいから、セスのような体格の良い男性でも受け入れるのは大変なようだ。
前に抱いた時、セスの中は熱くて性器が溶けてしまいそうだった。しかし、今はとても冷たい。あのぬくもりは血と彼の命とともに、食い散らかされてしまった。
ギュッと抱きしめてみても、鼓動を感じない。
悲しくて、悔しくて、同時に愛おしくて、たまらなかった。
「はあ、あ、すげぇ、内側から、焼けそうだ」
自分の逞しい腹部を撫でて、セスは浅い息を繰り返している。
ゆっくりと引き抜くと、セスの首筋に鳥肌が浮いた。そこに舌を這わせながら、緩やかにな抽送を繰り返す。
「んお、あ、あぐっ」
「ああ、貴方は、とても冷たい……私が、もっとしっかりしていれば、今も、貴方は温かいまま」
「ち、がうっ、あっ、違うっつ、て、うっ
あっ」
セスの手がツノを掴んで、無理矢理上向かされた。その目はギラギラしていて、まるで肉食獣のようだった。
「しかし、私は……悔しくて」
「嘘つけ。テメェは『嬉しい』って面してやがったぞ」
「それは……貴方のために、私にもできることがあると。それが嬉しかったのです」
「それだけじゃ、ねぇだろ」
「え?」
囁くように言われた言葉に、なぜかぞわりと腹の底から冷たいものが湧き上がるのを感じた。
それだけでは、なかった?
困惑するマティアスを鼻で笑って、セスは自ら体を揺すり始める。
「いい、からっ、テメェは黙って、俺に餌を与えてりゃいい……」
「あっ、んんっ、セス、さんっ」
淫らな腰付きで、尻を上げ下げされ、キツく冷たい肉に扱かれてマティアスは喉を反らす。
あっという間に、また射精感が込み上げてきた。
「で、でま、すっ、中にっ、ああ!」
「うっ、ぐっ、ああ、来た……熱い……」
硬くセスを抱きしめて、マティアスはセスの最奥に精を吐いた。どぷどぷと噴き出す精液が、セスの腹の中を満たしていく。
気持ちが良すぎて、情け無い喘ぎがとまらない。
セスもどこか満足そうに、ヘソの上あたりを撫でている。そこが、射精に合わせてビクビクと震えていた。
「ンッ、とんでもねぇ、量と勢いだ」
「は、あぅ、セスさん……セスさんは、まだ出していません……」
黒々した陰毛から、半勃ちの性器が顔をのぞかせている。さっきは勃起していたはずだが、硬度を失いかけていた。
初めて抱いた夜も、あまりイっていなかった。ここを手で愛撫してあげなければ、射精できないようだ。
セスの性器へ手を伸ばすが、それをやんわりと払いのけられる。
「いい。今は……こっちでテメェのを一滴残らず絞ってやりてぇ気分なんだ」
そう言って、セスは赤い舌を覗かせ妖艶な笑みを浮かべる。
まだ硬いままのマティアスの性器を埋めたまま、くりくりと腰をマティアスの下腹部に擦り付けたくる。中がうねうねと絡みついてきて、本当に搾りとられてしまいそうだ。
「っ、あっ、ああっ」
「ああ。いい気分だ。もっと鳴け……」
「ひう、セス、さぁ、あ」
されるがまま抱かれてくれていた、あの夜とは違う。積極的なセスはあまりに淫らで、卑猥で、マティアスはもう頭の芯まで蕩けてしまいそうだった。
そして本当に、もう一滴も出ないというくらいに。何度も何度もセスの中に精を吐いた。
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