11 / 19

11.暗がりで囁いて戯れ言

 ズボンをずり下げられ、下腹部が露出する。そこには、性器が収納されているスリットがあった。  セスの指先が割れ目をなぞり、中に入ろうとしてくる。 「やめ、あっ」  その刺激に性器は勃起して、ずりゅんっ、とスリットから飛び出す。勢いが良すぎて、セスの鼻先にぶつかりそうだった。  ヒクヒク震えている性器を見て、セスは意地悪な顔をして亀頭の先に息を吹きかけてくる。 「ん、ぅ」 「しつけのなってねぇちん×だ」  赤い舌を出して、セスはそこに顔を寄せる。ギョッとしたが、止める間もなく舐められてしまった。  冷たい舌が、体液に濡れた竿を舐める。あまりの快感に、腰が跳ねた。 「んう、うっ」 「敏感だな」 「だ、って、仕方ありません、貴方が、触れてくれたら、嬉しくて」  素直にそう言うと、セスは目を細めて先端に食いついた。舌の先で鈴口をチロチロと弄られ、同時に根元のあたりを手で扱かれる。  自分の性器を、愛しい人が咥えているという喜び。しかも、こんなにも格好良い、自分よりもはるかに老練なヴァンパイアハンターが。  背徳感と優越感に、マティアスの体は昂り切っていた。 「んぷ、う、んっ」 「もう、ああ、出そうですセスさんっ」 「はぁ、ハハ。いいぜ、ここに出せ」  大きく口を開けて、セスは赤い喉を見せつけてきた。ひくつく咽頭が、まるで性器のように見える。伸ばした舌の上に亀頭を乗せたまま、シュッシュと手淫された。 「あっ、うっ!」  堪えきれず、本当に喉の奥めがけて射精してしまった。先端から吹き出す白濁が、舌を伝い喉へ流し込まれていく。こくりと喉が鳴って、それはセスの中へ飲み込まれていった。  精液を、飲んだ。  眩暈がしそうなくらい、興奮する。  ビュルビュルと大量に出てしまって、流石に飲みきれないのか口から離された。顔に白濁がかかり、髪を汚す。  支配欲が満たされて、たまらない優越感を覚える。肉体的な快楽だけでなく、精神的な興奮も凄まじかった。 「っ、はぁ、すげぇ量だな。この絶倫野郎め」  手の甲で顔を拭いながら、呆れたように言うセスの髪を撫でた。サラサラしていて、とても気持ち良い。そこに、とろりとした粘液が絡んで束になっている。 「……どんな味がしましたか?」  そう問うと、セスは精液が絡んだ指をマティアスの鼻先に突きつけきた。青臭く淫らな性の匂いがする。 「舐めてみろよ」 「自分のは、嫌です。貴方のならまだ、っむぐっ」  無理矢理口に指を捻じ込まれ、生臭くて少ししょっぱい味が口に広がる。慌ててセスの指を引き抜き、ハンカチで口を拭いた。  こんな不味いものを、よく飲めたものだ。  セスは口元を意地悪に吊り上げ、困っているマティアスを見ていた。 「うう。まずい、です」 「そうだな。口から飲むもんじゃねぇ……こっちからの方がいい」  セスは自分の前を寛げると、するりと下を脱いでしまった。露出した性器は、完全に上向いている。人間の性器は竜人と違い、体格にしては少し小ぶりで、ツルツルしたキノコのような見た目をしていた。とても可愛らしく、愛しげな形だ。  そして、その奥。セスが足を大きく開いて見せつけてくる後孔。ピンク色で、綺麗な性器だ。  彼はその総排出腔(おしりのあな)にペニスを挿れて、中に出せと強請っているのだ。その事実だけで、射精してしまいそうだ。  さっき射精したばかりなのに、また性器が硬くなり、早くセスに入りたいと訴えた。 「舐めて濡らせ」  促されるまま、そこに顔を寄せる。匂いは気にならない。むしろ、酷く興奮した。硬く閉じた肉の輪を舌でなぞる。唾液を絡めて、音を立てて舐めた。 「ああ、いいぜ。中もだ、ほら……」  ツノを掴まれ、グイッと引き寄せられる。言われるがまま、舌を硬く尖らせ中に突き込んだ。  唾液を送り込みながら、愛撫する。 「んっ、ふうっ、ふふ」  押し殺した笑い声に、目線を上へ向ける。  つゆをタラタラと垂らしているペニスの向こうから、セスが煽情的な目でこちらを見下ろしていた。  目が合うとたまらなくなり、舌を引き抜いてセスの体を抱き起こす。埃っぽい床に寝かせるのが嫌で、膝の上に乗せた。されるがまま抱かれ、セスはこちらを見下ろして嗤っている。 「がっつくな。慌てなくても……好きなだけヤれるんだ」  そう言われても、早くセスの中に出したい。その欲求を、抑えられない。  勃起したペニスを押し当てると、セスは一瞬苦しげに顔を歪めた。濡れていてもなかなか入らない狭い穴に、力尽くでねじ込んでいく。  セス自身も体重をかけて、手伝ってくれていた。 「あぐ、うっ、ふうっ!」  一番太い亀頭を押し込めば、後の竿の部分は体重をかけて挿れていけば入った。ゴツゴツしたペニスが内壁を擦りながら奥へ進み、セスの中を占領していく。 「あ゛、ぐあ、あ、熱、う、う」  根元まで埋まり、奥にある壁のようなものに亀頭が突き刺さる。苦しげに、セスは喘いだ。竜人の性器は人間のそれより大きいから、セスのような体格の良い男性でも受け入れるのは大変なようだ。  前に抱いた時、セスの中は熱くて性器が溶けてしまいそうだった。しかし、今はとても冷たい。あのぬくもりは血と彼の命とともに、食い散らかされてしまった。  ギュッと抱きしめてみても、鼓動を感じない。  悲しくて、悔しくて、同時に愛おしくて、たまらなかった。 「はあ、あ、すげぇ、内側から、焼けそうだ」  自分の逞しい腹部を撫でて、セスは浅い息を繰り返している。  ゆっくりと引き抜くと、セスの首筋に鳥肌が浮いた。そこに舌を這わせながら、緩やかにな抽送を繰り返す。 「んお、あ、あぐっ」 「ああ、貴方は、とても冷たい……私が、もっとしっかりしていれば、今も、貴方は温かいまま」 「ち、がうっ、あっ、違うっつ、て、うっ  あっ」  セスの手がツノを掴んで、無理矢理上向かされた。その目はギラギラしていて、まるで肉食獣のようだった。 「しかし、私は……悔しくて」 「嘘つけ。テメェは『嬉しい』って面してやがったぞ」 「それは……貴方のために、私にもできることがあると。それが嬉しかったのです」 「それだけじゃ、ねぇだろ」 「え?」  囁くように言われた言葉に、なぜかぞわりと腹の底から冷たいものが湧き上がるのを感じた。  それだけでは、なかった?  困惑するマティアスを鼻で笑って、セスは自ら体を揺すり始める。 「いい、からっ、テメェは黙って、俺に餌を与えてりゃいい……」 「あっ、んんっ、セス、さんっ」  淫らな腰付きで、尻を上げ下げされ、キツく冷たい肉に扱かれてマティアスは喉を反らす。  あっという間に、また射精感が込み上げてきた。 「で、でま、すっ、中にっ、ああ!」 「うっ、ぐっ、ああ、来た……熱い……」  硬くセスを抱きしめて、マティアスはセスの最奥に精を吐いた。どぷどぷと噴き出す精液が、セスの腹の中を満たしていく。  気持ちが良すぎて、情け無い喘ぎがとまらない。  セスもどこか満足そうに、ヘソの上あたりを撫でている。そこが、射精に合わせてビクビクと震えていた。 「ンッ、とんでもねぇ、量と勢いだ」 「は、あぅ、セスさん……セスさんは、まだ出していません……」  黒々した陰毛から、半勃ちの性器が顔をのぞかせている。さっきは勃起していたはずだが、硬度を失いかけていた。  初めて抱いた夜も、あまりイっていなかった。ここを手で愛撫してあげなければ、射精できないようだ。  セスの性器へ手を伸ばすが、それをやんわりと払いのけられる。 「いい。今は……こっちでテメェのを一滴残らず絞ってやりてぇ気分なんだ」  そう言って、セスは赤い舌を覗かせ妖艶な笑みを浮かべる。  まだ硬いままのマティアスの性器を埋めたまま、くりくりと腰をマティアスの下腹部に擦り付けたくる。中がうねうねと絡みついてきて、本当に搾りとられてしまいそうだ。 「っ、あっ、ああっ」 「ああ。いい気分だ。もっと鳴け……」 「ひう、セス、さぁ、あ」  されるがまま抱かれてくれていた、あの夜とは違う。積極的なセスはあまりに淫らで、卑猥で、マティアスはもう頭の芯まで蕩けてしまいそうだった。  そして本当に、もう一滴も出ないというくらいに。何度も何度もセスの中に精を吐いた。

ともだちにシェアしよう!