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第3話
仰向けに寝転がった俺の上を目隠しをした淡路が跨る。シックスナインの形だ。下着の上から形を確かめるように尻を撫でる。下着をずらし、スキンを指に嵌めるとその入口の淵を撫でた。
「んんぅ……」
鼻にかかるような声とともに後孔は誘うように小さく痙攣した。淡路は一瞬動きを止めたが、すぐに俺自身にむしゃぶりついた。生暖かい感触に熱い息が漏れる。俺は焦らすように尻肉を撫でながら聞いた。
「いつもここに来てんの?」
「……今日……初めて……」
スキンを嵌めたまま二本指を挿れると奥の方から締め付けてくる。根元まであっさり入ったそこで内壁を撫でながら出し入れすると、淡路が俺を銜えたまま喘いだ。
「……んぐ……ッ、あ……っ、あっ……」
「感度いいね。目隠し好きなの?」
「……ん、好き」
硬くなった俺自身をねっとりと舐め上げてから、淡路は笑う。その姿が癪に障った。まだそんな余裕があるのか。ムキになった俺は後孔を性急に指で犯し、目の前で揺れる性器を舐めた。あっという間に彼から余裕がなくなった。
「あぁッ、待って……っ」
焦ったように口を離すが、待ってという彼の言葉とは裏腹に腰は揺れている。そろそろこちらも我慢できなくなってきた。
上で跨る彼の身体を掴んで転がるように反転させた。逆さ同士だった身体をもとに戻し、その唇に押し付けるようにキスをした。
汗の匂いで溶けた彼の香水を感じた。もっとその匂いを味わいたくて舌を絡ませていると、ねだるように昂りを押し付けてくる。その期待に応えるように彼の膝裏を抱えて慣らした後孔に自分の先端を押し当てた。期待に喉を鳴らす淡路を見て、今かなと思った。今が一番彼の不意を付けると思ったのだ。彼の視界を覆っていたアイマスクを奪った。
「お疲れさまです、淡路さん」
「えっ……」
驚いて小さく声を上げた淡路は視点の合わない目で周りを見回している。そして徐々に目が慣れてくると、俺の顔を穴があくほど見つめてきた。綺麗な二重の目が大きく見開かれていく。驚きと恐怖が入り混じったまま、淡路はしばらく声が出せないようだった。あまりの狼狽っぷりに俺は口元に浮かべる笑いを堪えられなかった。彼は何度か口を開いたあと、ようやく掠れたような声を捻り出した。
「矢名瀬……くん? なんで……?」
「なんでじゃないでしょ」
もう片方の足も抱き上げると彼の身体を二つ折りにした。そしてゆっくりと俺自身を埋めていく。十分に慣らしたそこはなんのためらいもなく俺を受け入れた。狼狽する淡路の心を残して。
「待って……、嫌だ……あっ、や……ぁ……」
必死に首を横に振る彼だが、抗いようのない快感に身悶えていた。根元まで挿入すると淡路は抵抗する動きを止めた。不安げと期待に入り混じった瞳が揺れている。俺たちは繋がったまま、ただ浅い呼吸を繰り返した。
「動きますよ」
「あっ、あっ、ぁあぁー……」
ずぶずぶと水音を立てながら抽送するたびに淡路の身体はびくびくと震え、はしたくなく声を上げた。俺も奥を柔らかく突くと吸い付くような感覚が堪らなく気持ちよかった。打ち付ける腰の動きが止まらない。欲望に任せて強く突くと淡路は一際大きく鳴いた。
「お゛ぁぁ……ッ」
「でかい声。我慢できないんですか?」
茶化すと悔しそうな視線が返ってきた。歪んだ口元をぎゅっと結ばれる。握った拳を口元に当てて耐えているが、口で鳴いていたのが、鼻から抜ける声に変わっただけだ。
「ん……んんぅ……ッ」
堪えた声が涙になって彼の目尻を濡らしている。触れられていない陰茎も硬くなって先端から先走りが滲んでいる。俺が彼を揺さぶるたびに蜜は糸を引きながら垂れていく。
「もうイきそうじゃないですか。部下のちんこそんな気持ちいいですか?」
「ん、ん……くッ……」
「ねえ、聞いてるんだけど」
首を横に振るだけで答えない淡路に苛立って、下腹部を抑えた。手の平越しに彼の体内に自分の性器が出入りしているのがわかる。外側から押さえつけられ、摩擦をより感じるようになった淡路は強烈な感覚にもがいていた。
「あっ、やだ、それ……ッ」
やだだって。
「止めてほしかったらちゃんと言ってください」
「気持ち……いいッ、矢名瀬くんの、ちんこ……イイ……、すごく……あっ、我慢できない……ッ」
陥落した上司の姿に顔が緩んだ。一度抜いて後ろを向けと言ったら、淡路はあっさりとそれに従う。俺に尻を向けてマットに這いつくばる彼の姿を見て、理性は吹っ飛んだ。
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