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第五章・3

「わぁ、綺麗! 街の灯が、お星さまみたい!」  七瀬は石川に連れて来られた高級ホテルの一室で、はしゃいでいた。 「いずれはこの街の灯全てを、俺のものにする」  石川は、また別の眼でこの夜景を眺めていた。 「それにしても、高いね~。ここから飛び降りたら、気持ちよさそう!」 「おいおい、物騒なことを言うな」  飛び降りたいほど、相良にいじめられたのか? 「俺が忘れさせてやる」  二人の影が、一つに交わった。 「ん、むぅ、ん。っふ、うぅ、んん……」 「キス、なかなか巧いぞ」  舌を絡ませ、擦り付け合い、七瀬と石川は長い長いキスをした。 「ッぷぁ、ん」 「ベッド、行くぞ」  見た目は幼いが、七瀬は大人のディープキスを熟知していた。 (こいつは掘り出し物かもしれん)  思いのほか期待しながら、石川はスーツを脱いだ。

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