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第五章・7
うなだれた三嶋をマンションから追い出した丈士は、どの部屋にも七瀬がいないことに気づいた。
「どこ行ったんだ、あいつ」
「ただいまー!」
「いつもいきなり現れるな!」
「驚いた? ごめん」
ただいま、ということは、やはり今までどこかへ行ってたと言うことだ。
「どこ、行ってたんだよ」
「ん? 石川さんのところ」
何だと、と丈士は焦った。
「何で石川さんのところなんだよ」
「だって、丈士さんがいったんだよ? だったら、石川さんにでも遊んでもらえ、って」
丈士は、こめかみをぐりぐりと押さえた。
(確かにそうは言ったけど、まさかホントに……)
「いっぱい遊んでもらっちゃった! 美味しいお酒飲んだし、夜景も綺麗だったな~」
「そうかよ」
どんどん不機嫌になる丈士に、七瀬は気づかなかった。
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