そして現在。あれから一年、僕達は一日一日を噛み締めるよに暮らし、前日に婚姻届を貰ってきた。今日は施行の日。 僅かに震えた手で名前を書く。そんな僕を見て、優真はそっと手を添えた。 「大丈夫……」 僕はゆっくりと深呼吸して、僅かに震えた名前を書くと、全ての思いを込めて実印を押した。 昔交わした約束……どこにでもある高橋の性、名付け親なんて関係ない、僕は優真の名前が大好きだから、いつか優真の苗字を名乗りたい。 そう言った懐かしい思い出を抱えながら、僕達は手を繋ぎ、区役所を訪れた。 「お願いします」 二人で書いた婚姻届を受付に渡すと、受付の職員はきちんと目を通しこう言った。 「確かにお預かりしました。おめでとうございます」 多分この人にとってはごく普通の言葉で、何組ものカップルに言ったであろう。だけど、僕達には本当に本当に特別で大事な言葉。 今までの苦しい日々も全てを許されたような、そんな一言だった。 「有難うございます」 僕達は二人揃って笑顔で返すと、職員は優しく微笑み返した。 そして僕等は気づいたんだ。今日は二人が初めて出会った日、あれから6547日の日を一緒に生きてきた。記念すべき日。 偶然？ いやきっと運命。僕達に起きた奇跡。優真二十五歳、僕二十四歳。今日から僕は高橋陽向です。 Fin