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第4話

「きっとお前のことだから……自分でいいのか? とか色々考えてたろ」 どうして分かるの? 僕は無言で目を見開くと、優真はクスリと笑った。 「何年一緒にいると思う? もう十七年だよ? お前のことは誰より分かってる」 「優真……」 「陽向はさ、俺のが辛いって言うけど、そうでもないぜ? 俺はさ、初めから親の温もりは知らないし、顔もわからない。だから寂しいとか正直わからなかった。お前を知るまで」 「…………」 「俺よりずっと陽向のが辛かったろ? 一番親が必要な時に離れて、新しい環境で……なのにお前はいつも俺の為に泣いて、一緒に悩んで怒ってくれた。時には喧嘩もしたけど、お前は最後はごめんって……優しいなって。なにより俺に人の温もりを教えてくれたのはお前だよ」 違う……違うよ。優しいんじゃない。僕はただ、優真に依存していただけ。そうしないと壊れてしまうから……寂しくてどうしようもなくなるから。だから──、 「陽向……俺、お前が大事だよ。世界一お前を愛してる。もう陽向がいない未来は考えられない。だから……俺と結婚してください」 優真が添えた大きな手にホロりと涙が落ちる。言いたいこと沢山あるはずなのに、なにひとつ出てこない。 「っ……本当に……僕で……いいのっ?」 「陽向がいいんだ」 彼の力強い言葉に僕の瞳から涙が溢れる。どうしよう……嬉しい。返事をしたいのに、後から後から溢れ出る涙で胸がいっぱいになり、言葉が出てこない。それでも優真は、僕の頬を伝う涙にそっとキスを落とした。 「陽向、受け取って」 そう言ってポケットから出した小さな箱。彼は僕の左手を取り、箱の中からキラっと光る指環をゆっくりと薬指にハメてくれた。 「あの時、四つ葉しか贈れなかったけど、俺の気持ちはあの時から変わらない。やっと本物の指輪を渡せる」 「優真……っ…くっ……」 彼は僕を優しく抱きしめ、ゆっくりと離れると、甘い口付けをくれた。 「んっ……んぅん……」 触れるだけのキスが、段々深まると、僕は大好きな背中に手を回してキスに溺れる。 「はぁ……もう一度訊くよ、俺と結婚してくれる?」 散々貪られた後、離された唇は僕の耳元で甘く囁き、僕は身体を震わせながら精一杯の返事をした。 「……はい」 ここは教会だってこと、勿論分かっていたけれど、僕達は互いを求められずにはいられなかった。誰か来たら──それさえも興奮へと変わり、僕達は夢中で抱き合った。 「んっ……ぁっ……ふっ……もぅ……」 限界を告げ彼へと伸ばした手には、キラリと光る証。僕は勢いよく白濁を吐き出すと、優真もまた果てた。

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