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第3話
あれから優真と僕は上手く時間が合わず、話し合いも出来ないまま一ヶ月が過ぎた。今日も僕は終電ギリギリ。なんとか電車に乗り帰宅した。
「ただいま……」
そう言っても部屋は暗く返事も返って来ない。もう寝てるよね……。僕は息ひとつ吐いて寝室を覗くと、寝ているはずの優真の姿はなかった。
僕は不安に駆られ部屋中を探すけどどこにもいない。
「優真……? いないの……?」
残業で遅くなっているのだろうか? でも流石に遅い。まさか──嫌な予感が頭を過ぎった瞬間、僕のスマホが鳴った。
「もしもし? 優真? 何処にいるの……」
スマホを握る手が震える。僕が震えた声で訊くと優真は電話越しに話し出した。
「ごめん、今から言う場所に来てくれない? 話したいことがあるんだ」
話……。一抹の不安が胸を締め付ける。すれ違うばかりの日常に気持ちが冷めた? それとも……僕が悪いことばかりを考えながら指定された場所にタクシーで向うと、そこは古くて小さな教会だった。
「教会……」
恐る恐るドアを開けると、年季の入った入口はギーと音を立てる。僕が中を覗くと、そこはいくつかのロウソクの灯りのみで照らされた幻想的な光景が広がっている。その奥に優真の姿を見つけると、ドア音で気づいたのか、彼はゆっくりと振り向いた。
「優真……」
なんだか久しぶりに彼の優しい顔を見た気がする。僕は飛びつきたい衝動を抑え、ゆっくり歩み寄る。後一歩彼の胸に飛び込もうとした瞬間、優真は僕を腕の中へと引き込んだ。
「ごめん、心配したろ?」
久しぶりの大好きな彼の匂い。その腕の中はとても居心地がよくて、僕は彼に擦り寄りながら頷いた。
「どうしてもここで話したくて……」
目の前の顔はいつも以上に穏やかで優しい。この神聖な場所の独特な雰囲気に、僕の心臓はドクンと跳ね上がる。
「陽向……一ヶ月間不安だったろ? 俺も不安だった」
「え……」
優真は僕の髪を撫で頬に手を添える。ヤバイ……心臓が飛び出そう。
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