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真が喫煙所寄るのについていったら、そこで久しぶりに賢一に会った。 喧嘩別れみたいになってたから結構気まずい。 ベッド以外では気さくなヤツだったのに、ニコリともしない、当たり前か。 賢一は今まで、俺が他の男と歩いててもなにも言わなかった。 つれとエロいことしてるの知ってても、嫉妬もしなけりゃ俺に文句も言わない。 だから今回も、そうだと思ってた。 なのに賢一はタバコを捨てて、俺ではなく、真に話しかけてきた。 「あんた、妃と寝てんの?」 ショックだった。 今までなにも言わなかったのに、 なんでよりによって真にからむんだよ。 優しいのに、なんでそんなことするの。 セフレがいるの、バレたくない。 「なに言ってんだよ、賢一」 女なら寝るって状況察したかも知れないけど、たぶん真はまだわかってない。 頼むから、もうなにも言わないで。 他のヤツにならバラしていいから、真にだけはバラさないで。 でも、届かなかった。 賢一は見たことないこわい顔で笑った。 「こいつその気がなくても充分抱けるレベルでエロいから、俺の後でよかったら試してみろよ」 最悪だ、情報多すぎる。 ノンケも落とす、男とヤる、賢一とヤってる、全部バレた。 「賢一、ふざけんなよ」 思わずつぶやいた言葉が、自分の声じゃない気がした。 いつもはふざけんなとか、思ってても言わない。 振り切れてるって、自覚する。 真が俺の前に出る。 桜祭りのときよりも前に。 賢一に、つかみかかってる。 「おまえ、人前でそういうこと言っていいと思ってんの?」 低い、いらだった声。 また、俺のために怒ってる。 問題起こすの止めなきゃと思うけど、それよりも。 賢一を止めてほしい。 けど、止まらなかった。 「あんたのために言ってんだよ? こいつ百回以上犯してやったのに、全然俺のものになんないからね? 遊びじゃねーなら、こいつと付き合うのやめとけよ」 真は、賢一を殴った。 やめて欲しかったのに、止まらなかったのが悪い。 賢一が悪い。 賢一が動く。 真の顔を殴って、すごいいきおいで蹴った。 笑ってるけど、怒ってるの? 賢一は今までこんなことしなかった。 おれのせいで、荒れてるの? 優しくしてくれたのに、裏切ってごめん。 賢一のこと、どうにかしてあげられなくてごめん。 でも。 あやまるから、たのむから、俺の未来をつぶさないで。

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