5 / 32
第5話
「月夜……良い子だ……」
恭弥は、今まで聞いた事ない優しい声でそう言うと、両手で僕の尻臀をやわやわと撫でてから、真ん中の蕾に指を這わす。
「凄い……濡れてる……」
恭弥はそう言うと、つぷッと太い節ばった指を差し込んだ。
「あぁっ!」
仰け反る僕の前に手を回し、前と後ろを刺激し始める。
「あっ……あんっ……気持ち……いぃ……」
吐息混じりに呟くと
「月夜……綺麗だよ……。いつもこれくらい素直なら、たくさん甘やかして優しく抱いて上げるのに……」
恭弥はそう囁いて、ゆっくりと指を引き抜いた。そして僕の蕾に恭弥の先端を充てがい
「月夜……どうして欲しい?」
と確認してくる。
僕は待ちきれず
「早く……早く入れて!恭弥ので、グリグリ奥を突いてぇ……」
そう叫んでいた。
すると恭弥は
「了解」
と呟き、一気に挿入して来た。
「アアっ!」
僕の声と一緒に『グチュ』っと、僕の身体が恭弥を求めて溢れさせた愛液の音が響く。
「悪い……月夜、もう……我慢の限界だ……」
物凄い汗の量と、荒い呼吸の恭弥に気付き、今まで僕の匂いでかなり欲望を滾らせていたのを我慢していた事に気付いた。
(何で?)
いつも自分勝手に僕を抱いて、泣いて嫌がっても止めてくれなかったのに……。
ゆっくりと腰を動かし初め、段々と動きが激しくなる。
「あっ……あっ……あっ……」
恭弥の腰の動きに合わせて、声が止まらない。
前を扱きながら、恭弥が浅く深く腰をすすめる。そして背骨に沿って舌を這わせると、一度動きを止めて腰を掴み、グッグッ……と奥に押し込むように刺激する。
「ひぃっ……はぁ……ぁっ……」
シーツを掴んで、与えられる快楽に溺れる。
「月夜……快いか?……」
後ろから抱き上げられ、腰を打ち付けられながら膝立ちの状態で聞かれ
「快……ぃ……恭弥ぁ……もっと……もっと激しく突いてぇ……」
縋り付くように背中の恭弥に手を回し、唇を重ねる。
「月夜……ずっと待ってた……。例えヒートだとしても、お前が俺を求めるその日を待っていた……」
吐き出すように恭弥は言うと、一度僕から引き抜いて正常位に変えて貫き始める。
唇を塞がれ、前を扱かれながらガンガンと打ち付けられて、全身がドロドロに溶けて行く。
「月夜……愛してる……」
恭弥の言葉に、耳を疑った。
(恭弥が……?僕を……?)
でも、激しく求められ、僕の意識は考える事を放棄した。
もう、何も考えられなかった。
「恭弥……恭弥……」
恭弥の背中をかき抱くと
「月夜……もっと俺を求めろ!」
そう叫ばれて、激しく腰を2.3回打ち付けた。
前も激しく扱かれ、僕が全身を震わせて吐精すると、恭弥も僕の中で爆ぜた。
荒い呼吸が重なり、唇が重なる。
一度果てても、全く萎えていない恭弥は
「このまま……続けて良いか?」
と、汗を滴らせた色っぽい顔で聞いて来た。
僕は小さく微笑み
「もっと……いっぱいして……」
そう答えて、恭弥の唇を受け止めた。
ヒートが終わるまでの1週間。
記憶が全く無い。
いつ食事をして、いつ眠ったのかも……。
ただ、恭弥の目を盗んで避妊薬だけは何とか口にした。
制服に隠してある薬で、何とか1週間を終える事が出来た。
そして僕は、この日から本邸からこの離れが僕の部屋になった。
ともだちにシェアしよう!