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第1話

「母さん聞いて!今日ね…」 『うるさい!話しかけないで。』 記憶の中の母親は、いつも俺に怒っていた。 何かを頑張っても、褒められることは愚か普通に会話をすることさえもなかった。 「母さん、制服のことなんだけど…」 『知らないわよ。それくらい、自分でやりなさいよ。』 最後までは話を聞かない。 俺のことは無視する…。 今までもそれが当たり前だった。 それが悪化しただけ だから―― 「残念ですが…。」 ピーッと高い音が、病室に響く。 それは、死を知らせる音。 この音に、俺は何の感情もなかった。 そして、俺は天涯孤独となった

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