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第59話 波飛side
どうしようか。
どうするべきなのか。
雪希のことを輝に伝えるべきなのか。
どう伝えるのか、伝えてどうすればいいのか。
全てが全然わからない。
「波飛くん、輝には俺から話しておこうか?」
ふと、声がかかって顔を上げる。
心配そうな表情をした風希さんと目が合った。
「あ...えっと......俺の口から言います。忠告しておきたいので。」
「そっか、わかった。無理はしないで。波飛くんだって疲れてるでしょ?」
疲れているのは事実だから静かに頷く。
でも、どんなに疲れていても俺には雪希を守る使命がある。
約束だ、俺が果たさなければならない約束。
「風希さんもありがとうございました。これからも度々頼らせていただくことがあるかもしれませんがその時はどうかよろしくお願いします。あ...あと塁のことをよろしくお願いします。多分あいつは一人のαとして、雪希の友人として不安でしかないと思うので...」
「もちろんです、任せてください。僕は一旦輝の様子を見てから寮に帰ります。でも.....詳しいことは僕の口から言うことはできないけど、輝はずっと運命の番という唯一の存在に縋って生きてたんです。だから、程々にしてやってください。」
それでは、といって去っていく風希さんの後姿を眺める。
俺が輝を責め立てたとき、慌ててあげた風希さんの声を聴いて輝が相当大きなものを抱えているのは察した。
だけど、だからどうすればいいんだよ。
輝と雪希は互いが互いを必要としてる。
なのにどうして、こんなにすれ違うんだ。
「俺が、俺が雪希の運命だったら俺は絶対に守れた...そう思うのは俺のエゴなんだろうけど。でも、でも.....」
少なくとも今よりはましだったはずなのに
そう思ってしまう。
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