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ニート×ニート
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「なあ、あんたいつ帰んの?」
二階建ての一階、奥、角部屋。そのボロいアパートの一室が俺の家だ。大家は叔父。身内のスネをかじって一人暮らし。
というか追い出されたというか、隔離されたというかなんか、俺は身内に嫌われている。
理由は簡単だ。ニートで働く気がないからだ。
「あー、家が家出したんだ」
「家が家出したんじゃねぇだろ、オメェが追い出されたんだろどうせ」
「そうとも言う」
「そうしか言わねぇよ!」
目の前で天井を見つめながらタバコを咥えているのは、容姿しか取り柄のないクソニートの男だ。
金髪色白顔面良し、そこそこ筋肉質。26歳同い年。頭は弱いが、俺もどっこいどっこいなのでなんとも言えない。
「ここにいるのはいいけどよ…家賃くらい払えよ」
「はあ?お前ここタダっつっただろ?」
「家主は俺な?ここにいたいなら俺のために働け」
そう言うと、そいつはニタニタと下品に笑う。せっかくの顔面が台無しだ。
「オレはお前のために働いてるぞ!」
「働いてんのはオメェのちんこだけだろ!!」
「こいつはオレの一部だろーが!?」
「食えねぇだろそれ!」
「デカすぎて?」
「死ね!!」
思わず頭を叩いた。タバコの灰が飛び散る。
そんなアホみたいな会話をしている俺は、牧修哉 。目の前のアホは雪村幸太 。
出会ったのは一昨日。
いつものパチ屋でのことだった。
『なあ、そっちの台もうちょいで天井じゃね?』
ユキはたしかそんな感じで話しかけてきた。
お互いに顔は知ってた。ほとんど毎日来てるから。
んで俺は答えた。
『天井までに金がなくなるのが先だな』
こういうのは運だ。そんでもって俺はいつもついてない。財布の中にはすでにレシートと飲み屋の名刺くらいしかない。
『じゃあこうしよう』
と、ユキはこんな提案をした。
『この台、協力して大当たり出そう。んでそれを元手に、こっちの台も大当たり出そう。そんで今日はハッピーに帰ろう、な?お互いに!!』
んでな、俺もアホだからさ、ノったんだ、その提案に。だって人間助け合いが大事だって死んだ父親が言ってたから。
が……、帰り焼肉食って帰ろうぜとか言ってたのがウソみたいに、二人とも財布がすっからかんになった。
右の台で出た玉が、見事に左の台に吸い込まれた。信じらんねぇよクソが。
その後なんか仲良くなって、お互いの傷を舐め合いながら俺んちで宅飲みして、なんか流れでヤッて今。みたいな。
正直顔がタイプだったからいい。アレもデカかったし直良し。
が、ひとつデケェ問題があった。
ユキはただのパチンカスじゃなくて、マジで家無しのクソニートだった。そのクセなんやかんや家事ができるんだから、追い出そうにも追い出せなくなった。
そんな感じで、俺らの変な同居生活は始まった。
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