2 / 61
お手伝い×クソニート1
★
「修哉!!どうせいるんだろクソニート!!」
部屋のドアを打ち破らんばかりに叩きまくる音で目を覚ました。
「ふぁあああ……おい、マキ…借金取りが来たぜ」
ユキが俺の剥き出しのケツをバシバシ叩きながら言った。
「幸いなことに借金はねぇよ…そんでもって俺のケツは太鼓じゃねぇ」
「ワリィ、思いの外叩き心地が良かったんだ」
コイツ…顔が良くてアレがデカくなけりゃ殺してやるのに。
「オラァ!修哉!!はよ出てこい!!」
「はいよー」
しゃあない、うるさいし出てやるか。
俺にべったりくっついているユキの腕をどけて、とりあえずパンツを探す。途中でタバコを一本出して咥える。ライターがねぇや。
「おいユキ、火探せ火」
「えぇ?クッソめんどいなぁもう」
「じゃあ俺のパンツ探す?」
「それはイヤ」
めっちゃイヤな顔された。
脱がして放り出したのはユキなのになんでぇ?
「あった」
俺のパンツはなんでか台所にあった。よっこいせと履くと、ユキがライターを投げて寄越した。
火をつけて玄関へ向かう。ワンルームだから、ベッドから玄関ドアは丸見えだ。
「はいはいはーい、っと」
ドアを開けると、案の定そこにいたのは叔父だった。般若の如くお怒りのお顔で腕を組んで仁王立ちしてらっしゃる。
「修哉、お前今何時か知ってるか?」
「さぁ…夕方くらい?」
叔父さんの後ろを見やる。空がオレンジ色だった。
「こんな時間までなにやってんだ?仕事は探したか?面接の予定は?」
「んなのあるわけないでしょ」
だってプロのニートだぜ?簡単に働いてたまるか!
「はぁぁぁああ……息子がこんなんじゃあ死んだアニキも報われねぇよ……」
そりゃあスマン。マジで。天国に聞こえてんなら謝るのに。
「んでなんのよう?叔父さんヒマ?」
「なわけねぇだろ!?俺は俺の大事な時間を使ってお前の心配をしに来てやってんの!ほら、ちょい部屋見せてみろ…どうせまた散らかし放題やってんじゃねぇの?」
叔父さんは靴を脱ぐと、俺を押し除けてズカズカと部屋へ入って来た。まあいつものことだ。とても迷惑だが、ここは叔父のアパートだから、俺に拒否権はない。ついでに人権もない。働かない奴はゴミだとよく言われる。
ズカズカと部屋に入って行った叔父さんは、素っ裸でコーヒーを淹れるユキと鉢合わせた。
叔父さんはユキのアソコを見てから(多分あまりの大きさに嫉妬したんだと思う)、俺に目を向けた。
「おまっ!?また男連れ込んでんのか!?」
「連れ込んでない。住み込んでんの、いつのまにか」
「連れ込まれてない。住み込みで面倒みてやってんの、色々」
言葉が被った。叔父さんは混乱して、俺の顔とユキのアソコを交互に見た。
「色々……」
「何やらしいこと考えてんの、叔父さん」
「や、やらしい?ことは、考えてない」
そんな顔赤くして、考えてないわけねぇわな。
ゴホンとひとつ咳払いをして、叔父さんは改めて俺の部屋を見回した。
「あ、あれ?思ったより綺麗だな…」
「オレが掃除してやってんの。オレは有能なニートだからな」
「ほう、君が……ん?ニート?」
ユキが淹れたてのコーヒーを、シンクに持たれながら啜った。熱いからか、少し顔を顰める仕草はマジでイケメン。
「そ。でもオレはそいつと違って有能なニートなんだぜ」
自信満々にそう言い切ったユキ。
叔父さんの身体が、ワナワナと震えだした。
「お、お前ら…揃いも揃って恥ずかしくないのか!?しかもお前!!服くらい着なさい!!!!」
俺の咥えたタバコの灰が、ポトリと床に落ちる。
ユキは叔父さんの怒鳴り声を、どこ吹く風でやり過ごした。
「ぐぬぬぬっ……まあいい。とりあえずはな!それより修哉、また頼みがあるんだが」
叔父さんは怒りで赤くなった顔を俺に向ける。俺は察した。いつものことだからだ。
「えー、またぁ?俺プロのニートなんだけどぉ」
「そんなもんにプロもクソもねぇよ!!とにかく、いつも通り給料は弾むそうだから、行ってやってくれ」
「しゃねぇなあもう」
「明日いつもの時間だ。頼んだぞ」
へいへい、と返事をすると、叔父さんは満足そうに部屋を出て行った。最後にもう一回ユキのアソコを見た気がした。
「なんだ、あのおっさん」
「叔父だよ。ここの大家やってんの」
「へぇ」
答えながら、シャワーでも浴びようかと考え、タバコをシンクに押しつけて消すと、マグカップを置いたユキが俺の腕を掴む。
「なに?」
「裸のついでに一回ヤりたい」
「は?っ、むぐ!?」
ユキの唇が俺のそれを塞ぎ、熱い舌が口腔に侵入してくる。この強引なベロチューが、マジでヤベェ。
「ん、ふぁ…ぁ」
「はい、準備完了!」
「え?って、おまっ、早えよ!?」
見るとユキのアソコは、すでにバッキバキのカッチカチで。
「な?有能だろ?」
「死ねよ!」
とか言いつつ、それに興奮するんだから、俺も大概ヤベェ奴なんだと思う。
世間の人間が一生懸命働いて、疲れて帰宅するような時間まで寝ていたのに、一体俺ら何やってんだろう?なんて、思わないこともない。
ともだちにシェアしよう!