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第1話
ガラスのハート
会社を辞め早1年半。
派遣会社に登録して、数カ月ごとの仕事をこなしてた。
伴 解 27歳。
身長だけはかわいい系で、凡庸なのは痛いほど理解している。
学生時代は『漫画の技かよw』って笑われてたけど、それも弄られ方としては好きな方だった。
だって、スゲー技じゃん。
かまってちゃんがベースにあった俺は、精神的な中身はいつでも厨二病が発症できる年齢だった。
現実の27歳は甘くない。
この歳で派遣は、早いのか遅いのか・・・。
いずれはどっかで正社員にならないといけないんだろうな・・・とか漠然とは思ってる。
でも、前より気が楽になった。
相変わらず自己評価は高めで、ださださ黒縁眼鏡がインテリっぽいってやっぱり思ってかけてるけどさ、どっちかっていうと伊達メガネが格好いいって思ってるのかも。
その時その場で対応できれば評価されたから、長い契約とか、社員とかって会社もあったけど、こんな話が出ただけでまた悪い病気が出そうだったから、契約は長くても半年にしていた。
色んな経験を積んだと思う。
一年半って意外と大きい。
まぁ、派遣やってると正直、社員との格差や発言力に悔しい思いもするし、契約が終わっちまえば気にすることもないから、ただ、それだけで結構気持ちは凪いでいた。
時々、昔の友達と会って飲んで、時々、実家に帰って家族の顔見て、アパートに戻るとどうしようもない不安がせりあがってくる日もあった。
結局、根無し草なんだよな・・・。
辞めるときに色んな人間関係も全部捨てた。
スマホの番号を変えるために、格安スマホに変えてIDも何もかも変えた。
そうしないと、弱い自分がまた連絡してしまいそうだったから。
上に上がってるあいつも、俺に話を聞きたがったあいつも、俺は、多分、好きだったから悔しかったんだと思う。
でもさ、好きな奴が上に行くのを素直に喜べる性格じゃないのもわかってるから、逃げたんだ。
頑張ったよ、俺。
そろそろ、新しいやつと出会って楽しくやっていきたいんだよね。
やっと、ちゃんと社員で仕事がしたいって思えた。
派遣契約もあと2週間あるし、それが終わったら、ちゃんと探そうって誓った。
仕事が決まるまでは、単発のバイトとか、よく行くバーで手伝いをさせてもらおうって考えてた。
ん、ちゃんと言わなかったけど、俺は生粋のゲイで、彼氏いない歴年齢。
そろそろ、魔法使いカウントダウン。
綺麗な体だし(外見じゃなくて中身ね)結構今でもジムに通ったり、家で筋トレしたりして鍛えてはいる。
でも、立派な日本人であんまり筋肉にならないから、ゲイ仲間にはモテない。
せめて顔が良ければ・・・かわいい系よりいかつい系なら需要もあったかも。
もう、魔法使い目指してるから、いいんだけどね。
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