2人のハート 入籍の許可を貰ったら、もう、止まらなかった。 嬉しくて泣くなんてあんまりないよ、俺。 いつも自己評価高すぎの、自己採点甘過ぎで落ちて泣くんだから。 「かずしさん！」 ぎゅうーって抱きついたら、抱きしめ返される前に、姉さんから引き剥がされた。 「やめんか！ 　恥ずかしい」 はい、すみません。 でも！手は繋ぐ！ 指を絡めて、恋人繋ぎ！ 「あのね、姉さんのご飯、美味しいから！」 あ、母さんが美味しいから、姉さんが、ってゴニョゴニョした。 広い座敷に沢山のご馳走。 幸せだなーって。 でも、なんかトラブルが来たらどうしようって、いまは、幸せも噛みしめられない。 これ、PTSDレベルかも。 イケメン過ぎるのも困りもんだな。 「俺、幸せが怖い。 　また、なんかありそうで。 　トラウマにも程があるね」 「さとる、大丈夫。 　絶対に幸せになるから。 　俺が幸せだからな。」 2人で喋ってたら、航も姉さんも、呆れてた。 でもさ、ほんと、重なり過ぎたんだって！ しかも、抱いてもらってないから、余計に不安なんだって！ そんな事は言わないけどさ。 実家に泊まれって言われたけど、明日見る物件の近くにホテルを取っているからって引き上げた。 航も飲んでるし、タクシーで向かった。　 田舎だから、あんまりベタベタは出来ない。 今でも、まだ、悪く言う人らはいるから。 でも、家族が認めてくれてるのは、強い。 ホテルでチェックインしようとしたら、 悪ノリさんがいた！ なんで？ あ、ホテル手配したの、この人だっけ。 「さとる君、実家はどうだった？」 「かずしさんが、全員に殴られてましたw」 　 「あのお母さん強そうだよねー 　兄貴、ボコボコ？でもねーなー」 残念そうに言う。 「みんな、一発で我慢してくれました。 　それに、顔を殴ったのは弟だけで、母も、姉も鳩尾一択でしたから」 大丈夫です！ ってドヤ顔したら、残念な子を見る目になってた。 だってさ、イケメンが壊れたらやじゃん。 　 「お前、なにしに来たんだよ。 　仕事は？」 「仕事だよー、社長から支店と、兄貴の店舗は同じビルか、徒歩1分以内って厳命だからさ」 「それは、同じビルしか選択肢がないじゃないか。」 部長、えらい過保護なのか？ 「まあ、まあ、さとる君が心配なんだよ。 　兄貴がまた、やらかさないかさ。 　俺か、親父が守れた方が安心だろ？」 「もう二度と、あんな事はない！」 仕方ないよね。 あれはひどい事だったし。 「まあ、明日な。」 俺たちは、部屋へ向かった。 上の方の階で、景色は最高だった。 部屋へ入ると、抱きしめられた。 うん、すごい安心する 「さとる、すぐ籍を入れて養子縁組しよう」 「はい」 日本だと色々難しいこともあるけど、2人で生きていく地盤が出来るのは、本当に嬉しい。 キスをする こんな日は特別なキス。 「一生、一緒にいてくれ 　お前が笑ってくれるだけで、いい。」 そう言って、指環を出してきた。 左手の薬指に。 俺も、かずしさんの左手の薬指に。 誓いのキスをした。