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第1話 重なり合う、二つの影
ダブルベッドが軋む音。
後孔から流れ出る精子と液が混ざり、ぐちゅりぐちゅりと音がする液体。
2人の身体から流れ落ちる汗。
抑えることのない、甘えるような喘ぎ声。
「雅 ……樹 ……、だして…。俺…の…中で…だし…て……」
雅樹がバックで激しくピストンするたびに、智樹 の身体は大きく揺れる。
「さっき…、中で出しただろ?」
ピストンする動きを雅樹は緩め浅くする。
「やダっ……、さっき…の…、して……」
智樹が雅樹の楔を呑み込もうと腰を揺らすが、その腰を雅樹が止める。
「ダメだ。智樹が一週間セッ○ス我慢するって約束できたら、好きなだけ出してやるよ」
その問いかけに、
「約…束……する…っ…。雅樹がいう…なら……、一週…間っ……H……、しない…」
智樹は雅樹の方を振り返り、早く欲しいと涙を流す。
「いい子。じゃあ出してやるよ。智樹の中から俺の精液が溢れ出して、智樹の脚をつたってシーツが汚れるぐらいにな」
「うれ…し…い…。ああぁぁぁ……ーーーっ」
急に雅樹が智樹の奥壁へ精をぶつけると、智樹は腰を大きく反り返し、身体全身も中も喜ぶように震え、今日何度目かの蜜を放った。
全身の力が抜けきり腰からベッドに倒れ込みそうになった時、雅樹が智樹の中から楔を抜き取る。
ヤダっ‼︎
抜かないで‼︎
まだ雅樹が欲しい…。
智樹が雅樹の顔を見ると、
「そんな顔すんなって。智樹の気持ちなんて、全部わかってる。俺とするの、好きだろ?」
後ろを向く智樹の方に、雅樹は舌を出しながら唇に近づけると、智樹も嬉しそう口を開け、雅樹の舌を受け入れる。
お互い貪るように舌を絡めると、口角から2人の唾液が混じり流れ出す。
あまりに激しく濃厚なキスに溺れた智樹が、息も絶え絶えになると、ゆっくりと雅樹が唇を離した。
そして智樹の身体を抱き上げると、智樹も雅樹が対面になるよう自分の膝の上に智樹を座らせ、
「好きだよ智樹。お前の全て。なぁ智樹、俺に触れられただけでトロトロになれよ」
「まさ……ぁぁ……ぁぁん、ん……。まさ…っき…」
雅樹は楔を智樹の中に挿れ、その智樹は雅樹の首にしがみついた。
俺も雅樹が好きだ。
身体だけじゃなくて、心も全部。
服の上からでも、いつでもどこでも雅樹に触れられただけで抱かれている感覚が身体中を駆け巡り、おかしくなりそうだ。
俺だけ見て、雅樹。
雅樹が誰とも喋るなって言ったら、俺は誰とも喋らない。
雅樹が俺を閉じ込めたいって言うなら、言う通りにする。
もう誰ともセッ○クスするなって言うなら、誰ともしない。
ヒートの時だって一人で我慢する。
雅樹に求められるなら、なんだってするよ。
だから、俺だけの雅樹になって…。
雅樹に与えられる快楽と、身も心も愛されたいと願う気持ちと、彼の楔が智樹の中で震え、気持ちよさから顔を顰 ながら、智樹を見つめる表情と……。
幸せと切なさが入り混じり、ぐるぐると智樹の心の中で渦めいている。
『雅樹、愛してる』
その言葉を飲みこみ、智樹は快楽の海へと溺れていった。
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