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第2話 オメガバース

この世には男性、女性の他に『α《アルファ》、β《ベータ》、Ω《オメガ》という人種に分かれている。 『アルファ』 人口の20%ほどで、元々もっている人並外れた優秀さに特別爽やかな容姿も加わり、大企業の社長、上層幹部、有名弁護士や医者などが多い。 『ベータ』 人口の70%をしめ、簡単に言えばごくごく普通の人達だ。 そして最後は『オメガ』 人口の10%と希少で、女性だけではなく、ある一定の歳になるとオメガは、男性でも子宮が育ち始め子供を産める体となる。 容姿は驚くほどの美貌の持ち主で、まるで絵画から抜け出したかのよう。 そしてオメガの特徴はまだあり、1ヶ月に一度『ヒート期』というものがある。 この期間はベータ、特にアルファを欲情させるフェロモンを大量に放出させ、個人の意思に関係なく性的にベータやアルファを欲情させる。 そんな事から、オメガはアルファやベータからのレイプ事件が多発し、オメガは定期的にフェロモンを抑える薬を摂取しなければなかった。 しかもヒート中に、体内に精子を入れられると、高確率で妊娠する。 だが、オメガの精子は精液のわりに数が少なく、射精した相手を妊娠させる事は、ほとんど報告されていない。 そんなフェロモンも抑える方法がある。 それはオメガが人生を共にすると誓ったアルファに頸を噛ませ、(つがい)になる事。 オメガがヒート期になっても、番になったアルファしか、フェロモンは反応しなくなる。 そのためアルファと番になったオメガの悲惨な事件は番がいるオメガは遭遇しなくなっていくのだった。 15歳になると全員強制的にオメガ判定が行われて、智樹はオメガ。 そして智樹の愛する雅樹……。 彼もオメガ。 オメガとオメガ。 聞いたことのない組み合わせだ。 しかも彼らには見過ごせない、ある事実が待っていた。

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