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第3話 寝る時はいつも
「雅樹、寝るなら歯磨きしなって」
19時からベッドで眠っている雅樹の肩を智樹が揺らす。
「えー。めんどくさい…」
雅樹は布団の中に潜り込んだ。
「虫歯になるぞ」
智樹が雅樹が入り、膨らんだ布団を叩くと、
「じゃあ、智樹が洗面所まで連れてって」
と、布団から片腕を出した。
まったく…。
こんなところは小さい時から変わらない。
「はい、行くよ」
その腕を智樹が引っ張ると、意外とすんなり雅樹がベッドから起きた。
「歯、磨いたら今日、智樹の隣りで寝ていいか?」
智樹に手を引かれ、雅樹かわ階段を降りる。
「いちいち聞かなくても、いつものことだろ?」
「だから?」
「一緒に寝るって言ってんの」
「なんで?」
「雅樹が寝たいって言ったんだろ?」
「じゃあ俺が一緒に寝たいって言わなかったら、寝ないのかよ…」
雅樹が拗ねたように唇を尖らせると、
「俺も雅樹と一緒がいい」
「なんで?」
「なんでって…。雅樹の隣りにいれるのは俺だけだから…。これでどうだ?」
いつも言うセリフを呆れ顔で智樹が言うと、嬉しそうに雅樹が微笑む。
「智樹の口から直接聞きたかったんだよ」
智樹の頬に雅樹はキスをした。
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